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美術館 > その他 > その他 > 2025年度 美術館がつなぐ共生社会推進事業 報告リーフレット オンライン版

2025年度 美術館がつなぐ共生社会推進事業 報告リーフレット オンライン版 

三重県立美術館は、「誰もが利用しやすい環境」を整えることを活動指針に掲げています。(「三重県立美術館のめざすこと」2018年策定)
2020年度より、これを継続的事業として本格化し(「美術館のアクセシビリティ向上推進事業」)、2024年度からは、その歩みを進め、誰もが自分らしく生きられる共生社会の推進を目指した新事業を展開しています。新事業2年目となる2025年度は、多様な人が主役となって参画できる事業基盤を整えるため、当事者のニーズに沿ったプログラムの企画と教材の開発を行いました。 
(助成期間:2025年5月19日~2026年2月28日)

報告リーフレットPDF(1.3MB)
*PDFは圧縮版のため、音声コードの読み取りには適しません。
*オンライン版では、印刷版の本文に大幅に加筆し、図版も追加しています。読み上げやすさを考慮し、テクストや画像は垂直方向に配置しました。
*掲載したインターネットリソースの最終アクセス日は2026年2月22日。今後アドレス変更やページ更新に伴い、リンク切れになる可能性もあります。

【お問合せ先】
美術館がつなぐ共生社会推進事業実行委員会事務局(三重県立美術館内)
〒514-0007 三重県津市大谷町11番地
TEL. 059-227-2100(代表)
FAX. 059-223-0570
E-mail: bijutsu2★pref.mie.lg.jp(★を@に)
 

目次 *タイトルをクリックすると該当箇所にジャンプします

事業報告
1.彫刻をさわって鑑賞するワークショップ
2.「やさしい日本語」を使ったコレクション展示「洋画の きほん」
3.「やさしい日本語」の研修会
4.ひきこもり支援センターと協働したワークショップ
5.情報保障付きプログラム(「ポップ・アート 時代を変えた4人」展スライドトーク)
6.コレクション オーディオガイド
7.ソーシャル・ガイド改訂

実行委員会構成
謝辞
奥付
 

事業報告

1.彫刻をさわって鑑賞するワークショップ

日時:2025年12月8日(月)①午前の部 9:30~11:20 ②午後の部 13:10~14:50、③座談会(意見交換会) 15:00~16:30
会場:三重県立美術館 柳原義達記念館、美術体験室
講師:半田こづえ(明治学院大学非常勤講師)、宮坂慎司(筑波大学芸術系准教授)
参加者:三重県立美術館ボランティア「欅の会」会員、三重県立美術館職員、三重県立美術館看視スタッフ、三重県総合博物館職員、三重県文化振興事業団職員
参加者数:①13名 ②15名 ③15名
担当:橋本三奈、鈴村麻里子、桐谷美帆(いずれも三重県立美術館学芸普及課職員/特記のない限り以下同)
 
主に当館の職員・スタッフを対象とする「さわる鑑賞」の研修会。これまで「さわる展示」を実施するなかで、来館者だけでなく、美術館の職員・スタッフからも「どのようにさわればよいか分からない」、「作品へのアプローチの方法がわからない」、「触察するか悩んでいる来館者への声の掛け方がわからない」といった意見が寄せられた。こうした疑問や課題に対してより理解を深めるため、長年さわる鑑賞を研究・実践している講師を招き、美術館の職員、看視スタッフ、ボランティアスタッフなどを対象とした研修をおこなった。作品を「見る」だけでなく「さわる」ことで新たな気づきが多く得られ、講師や参加者と一緒に作品をさわりながら対話することで、実践的に学ぶ機会となった。 
当日の様子は撮影し、今後のさわる展示・プログラムの補助教材とすることを目指して映像を制作・公開した。

映像「彫刻をさわって鑑賞するワークショップ|三重県立美術館」(外部リンク/動画共有プラットフォームYouTube)】撮影・編集:office369番地 

参加者より *アンケートから抜粋

研修で印象に残ったこと、全体を通しての感想

「毎日見ているのに、今までこんなに時間をかけて丁寧に観たことはなかった。」
「1つの作品が芸術的な側面だけでなく、カラスの特性を知ったうえで、その作品への想像力をより膨らませることができた。」
「グループ内では、気兼ねなく『うん、うん、そうだね』と共感して受け止めてもらい、自分が気づけなかったことを対話することでどんどん気づきが深まっていった。」
「さわって鑑賞することで、その作品が伝えたいことやこだわりが見えてくるように感じられ次々と興味が湧いてきた。さわる鑑賞は、課題も多く付属するが、今後さらに重要になる点ではないかと感じた研修であった。」
「今まで彫刻を二次元的に観ていたが、触ることで三次元を体感することができた。」

さわる鑑賞で気づいた柳原作品の魅力

「作家の手の動きがダイレクトに伝わってきた。」                                  
「表面の処理(ツルツルの部分、ザラザラの部分)へのこだわりと、それによって生まれる質感や動感の表現が魅力的であった。」
「作家の手の動きで肉付けして強調していることや、こんなバランスで立っているんだ、と体感することができた。」
「体の一部がぐっと奥までえぐれていたり、意外なところに塊があったりと、作家の握ったあとや指で押した跡を感じることができた。」

今後の「さわる展示」の課題や展開について

「感じたことを気軽に共有できるような何かがあるとよいと思った。」
「映像やイラストで触り方を広める素材をいろいろな種類で用意するとより理解が深まると思った。」
「さわる展示を実施する際に、興味をもってもらうためのキーワードを提示してみる。」
「マナー説明(ガイダンス)の難しさがあるので、明確な案内方法を検討する。」
「作品保全と触察のどちらを優先するか。触ることと守ることの両方を考える。」

講師のレクチャー風景。展示室内で話す講師の周りに参加者が座る。

鳥をかたどったブロンズ彫刻の触察風景。参加者が手袋をつけて彫刻をさわる。
プログラム実施風景 撮影:松原豊

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 2.「やさしい日本語」を使ったコレクション展示「洋画の きほん」

会期:2025年12月23日(火)~2026年3月29日(日)
会場:三重県立美術館 常設展示室2、3室
イメージヴィジュアル制作、技法解説助言・制作:下村雄三
協力:三重県ダイバーシティ推進課多文化共生班
入場者数:7,135名
担当:原舞子、髙曽由子

「やさしい日本語(日本語を母語としない外国人等にもわかるように配慮して、簡単にした日本語)」を導入したコレクション展示を開催。この導入にあたっては、昨年度より、職員・スタッフ向けの講座の実施や、事例調査の継続など、着実に準備を進めてきた。三重県では県民の約26人に1人が外国人という現状にあるが、本展では、外国人のみならず、子どもや高齢者、障がいのある人など、多様な来館者が鑑賞を楽しめる環境を整えた。
今回の取り組みでは、当館の所蔵品の特色のひとつである、洋画(19世紀後半以降の日本で制作された油彩画等)作品25点を展示し、作品ごとに「やさしい日本語」で執筆した解説文をパネルで掲示した。また、実際に洋画で使用する絵の具、筆、その他の材料や道具類もあわせて展示した。技法については、画家の下村雄三氏より助言を得るとともに、解説用に小型サイズの参考作品の制作を依頼した。参考作品を所蔵作品とあわせて展示することで、文字情報に加えて視覚的な解説となるよう配置した。さらに、展示室内には鑑賞者がコメントを書き込むコーナーを設け、寄せられたコメントシートを掲示した。
なお、展覧会にあわせて制作したチラシやウェブサイトの案内ページでも「やさしい日本語」を使用し、普及に努めた。

開催時の案内ページ

鑑賞者の声 *コメントシートから抜粋

―むずかしい言葉はありましたか?

「一つ一つの絵の説明だけでなくて、色々関連したり比べたりして見られるように説明してあって勉強になったし楽しめました。」
「わかりやすい言葉でとても良いと思いました。外国の方で日本語がまだ難しいというだけでなく、色々な特性をもっていて、日本人でもむずかしい言葉の理解がおいつかない方にも良いと思いますし、親御さんにつれられて来た、ひらがなは読めるよというお子さんにも良い取り組みだと思います。」
「3才の子に声を出して読んでも理解していました。」

―あなたの好きな絵を教えてください

「《小丹波村》 ぱっと見ただけだと、ちょっと暗い色の風景だなあ…とそんなに好きな感じではなかったけれど、『絵の中ににわとりがいます。探してみましょう』と読んで近づいてみたら、本当に小さくにわとりがいて、その時、絵の中にいる人の目線になったような、絵の中に入ったような感じがして面白かった。
「わたしがすきなえは、こじまぜんざぶろうのはこねのえです。なぜかというと、じっさいにありそうで、人がすんでいるのが思いうかびます。それがいいと思いました。」
「《雪景》 雪がつもっているのをえのぐの量、かきかたなどで表しているのがすてきだと思った!」
「池という作品が好きです。理由は「池」という作品を見て、抽象絵画がすてきだなと思ったからです。」

展示ケースの中にパレットや筆が並ぶ。

肖像画の隣に、作品キャプション、解説パネルが掲示されている
展示風景 撮影:松原豊
 

当事者(三重県環境生活部ダイバーシティ推進課 国際交流員)によるフィードバック

「とても読みやすかった。」
「漢字と平仮名の分量、文章の長さ、文法に配慮があり、日本語の初学者にとっても理解しやすいと感じた。」
「全ての漢字にふりがながつけられているのが読む際の助けになる。意味が理解できない場合でも、読み方がわかれば検索することができる。」
「美術の専門用語は多いが、ふりがなが付いているので読むことができた。また、専門用語の後ろには説明がついていたので、理解することができた。」
「文字の説明だけでなく、音による情報があると、補助になると思う。」
 

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3.「やさしい日本語」の研修会

日時:2026年1月29日(木)14:00~15:30、30日(金)10:30~12:00
会場:三重県立美術館 常設展示室2、3室等
講師:髙尾戸美(合同会社マーブルワークショップ代表、國學院大學兼任講師) 
参加者:当館学芸普及課職員 6名
担当:原舞子、髙曽由子
 
当館学芸普及課職員を対象とした研修会。「やさしい日本語」を使ったコレクション展示「洋画の きほん」へのフィードバックとして実施。解説執筆、展示企画を経て得られた気づきや、来館者アンケート等を参照し、改善点や今後の事業展開について、講師と職員とで意見交換を行った。また、美術館利用者向けの「やさしい日本語」によるガイドリーフレットの作成について、講師から先行事例の紹介と助言を得た。

担当者のコメント

美術の初学者や子どもにも伝わりやすい内容を目指して解説を執筆し、やさしい日本語に書き直しながら作業を進めた。執筆にあたっては、三重県が発行するやさしい日本語ガイドラインや、他館での先進事例を参照したが、専門用語やカタカナ表記の言い換え、説明には苦労する点も多かった。
実際に展示を行ってみたところ、パネルのサイズ、使用する書体、漢字とひらがなの表記の使い分け、単語・文節での分かち書きなど、今後改善すべき点が見えてきたように感じている。今回は、展示作品すべてにやさしい日本語の解説パネルを掲出したが、今後は数点にしぼってやさしい日本語の解説を付す、通常の作品解説とやさしい日本語解説を並置するなど、さまざまな取り組み方を模索していきたいと考えている。

展示室内の研修風景

絵画の隣に、説明の書かれた大きさの違う紙やパネルが掲示されている
実施風景

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4.ひきこもり支援センターと協働したワークショップ

企画支援:いなべ市ひきこもり支援センター瑠璃庵、デザインユニット Kuwa.Kusu
担当:道田美貴、鈴村麻里子、桐谷美帆

美術館に来館しづらい潜在的利用者に向けたワークショップキットの開発を進めた。三重県立美術館のコレクションを活用したキットを作成し、ひきこもり支援センターのスタッフが当事者の自宅訪問時に配布、後日、制作後の作品を回収してセンター内に展示していく。この一連の交流を通じて、自宅にいながらセンターや地域住民、デザイナー、美術館とつながる仕組みの構築を目指す。今年度はプロトタイプを作成した。「実験回」として、同支援センターを利用している保護者会の協力を得て、体験会、意見交換会を実施。

「実験回」

日時:2026年2月21日(土)10:20頃~11:00頃
会場:いなべ市ひきこもり支援センター瑠璃庵
ワークショップ進行:Kuwa.Kusu
参加者数:7名

参加者からの意見(要約)

・見本があるとイメージしやすいので良い
・シールがあると取り組みやすい
・道具類などを共有するのは難しいのでセットに入っていると良い
・ものをつくるのは好きだが、みんなでやるのは苦手なので1人でつくれるのはいい

猫の形の台紙やカラフルなシール、ペン、スティックのり

猫の体のパーツを貼りつけている様子
プロトタイプと実施風景 撮影:Kuwa.Kusu

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5.情報保障付きプログラム(「ポップ・アート 時代を変えた4人」展スライドトーク)

日時:2025年12月20日(土)14:00~14:30
会場:三重県立美術館講堂
講師:坂本龍太(三重県立美術館学芸員)
手話通訳:三重県登録の手話通訳者2名
要約筆記:三重県登録の要約筆記者4名
参加者数:56名
担当:田中ひろみ(三重県子ども・福祉部障がい福祉課 手話通訳支援員)、村上敬

参加者のリクエストに応じて情報保障をするのではなく、当初より「手話通訳・要約筆記付き」で計画したプログラム。耳の聞こえない/聞こえにくい人を主な対象とし、作品画像を投影するスクリーンの横で、手話通訳とパソコンによる要約筆記を行った。

参加者の声

「聞き取りにくい所があった時、筆記があると助かる。」
「とても分かりやすかった。」

講演会の様子。中央のスクリーンに画像が映され、右手に手話通訳者が立つ。その右に文字が映ったスクリーンがある
実施風景

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6.コレクション オーディオガイド

公開日:2025年2月18日(水)
掲載先:三重県立美術館ウェブサイト
ガイド数:計19本追加
担当:坂本龍太、髙曽由子 *原稿は全学芸員が執筆
 
美術館初心者の鑑賞学習を支援するため、2020年度より所蔵品の音声ガイドを作成・公開している。昨年度までに、A解説(一般的な解説)43本、B解説(目の見えない/見えにくい方の利用を想定し、作品を言葉で記述した解説)18本を公開した。今年度は、A解説14本とB解説2本を追加制作した。また、新たに作品以外の解説として、美術館の施設に関するトピック3本を加えた。

三重県立美術館コレクション オーディオガイド

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7.ソーシャル・ガイド改訂

協力:三重県自閉症協会

館内設備の更新に伴い、三重県自閉症協会の助言を得て、公開中の「三重県立美術館ソーシャル・ガイド」を修正した。主な修正箇所は館内地図データ、トイレの表示、レストランの説明。

「三重県立美術館ソーシャル・ガイド」のページ

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実行委員会構成

三重県立美術館(中核館) 
三重県障がい者芸術文化活動支援センター(公益社団法人三重県障害者団体連合会) 
公益財団法人三重県文化振興事業団 
三重県子ども・福祉部地域福祉課 
三重県立美術館ボランティア「欅の会」

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謝辞

令和7年度の事業を実施するにあたり多大なご協力をいただいた関係諸機関、関係者の方々、およびここにお名前を記すことを控えさせていただいた方々に深く感謝の意を表します。(五十音順、敬称略)

いなべ市ひきこもり相談支援センター瑠璃庵
Kuwa.Kusu(桑田知明、楠麻耶)
三重県自閉症協会

下村雄三
髙尾戸美
高橋裕二
半田こづえ
松原豊
宮坂慎司
森井一鷹

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奥付

令和7年度「美術館がつなぐ共生社会推進事業」報告リーフレット
[印刷版]執筆・編集:村上敬、鈴村麻里子(三重県立美術館学芸普及課)
[オンライン版]編集:鈴村麻里子、村上敬
[印刷版]デザイン:溝田尚子
[印刷版]印刷:株式会社アイブレーン
発行:美術館がつなぐ共生社会推進事業実行委員会(三重県立美術館内)
〒514-0007 三重県津市大谷町11番地
TEL. 059-227-2100 / FAX. 059-223-0570
[オンライン版]発行日:2026年2月25日
©2025美術館がつなぐ共生社会推進事業実行委員会 
無断転載・複製を禁じます。

令和7年度 文化庁 Innovate MUSEUM事業
事業のページ(外部サイト)

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