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美術館 > その他 > その他 > 2021年度 美術館のアクセシビリティ向上推進事業 報告書オンライン版 6作品解説

2021年 美術館のアクセシビリティ向上推進事業 報告書オンライン版 
6.多様な作品解説の展開――三重県立四日市高等学校との連携事業を中心に

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(1)基本情報

コメント掲示期間:2022年2月23日(水・祝)-4月3日(日) *ウェブサイトには4月4日以降も掲載
掲示会場:三重県立美術館企画展示室
執筆:三重県立四日市高等学校美術Ⅰ選択者107名
担当:森本彩(同校美術科教諭)、鈴村麻里子、内藤由華、原舞子、橋本三奈
 

(2)概要

昨年度から当館では、アクセシビリティ事業の一環で展示補助教材の内容や媒体について検討を行っている。今年度も昨年度に引き続き、三重県立四日市高等学校の生徒が当館の所蔵品に対するコメントを執筆し、それを来館者と共有する取組を実施した。

今年度はコレクションによる特別展示「春をまちわびて 美術から考える自然との調和(=エコロジー)」の出品作であるピエール・ボナール《ヴェルノンのセーヌ川》、浅井忠《小丹波村》、児島善三郎《箱根》、牛島憲之《貝焼場》、中谷泰《陶土》、イケムラレイコ《birdgirl》の6点から1点を選び、生徒がコメントを執筆。ポイントは、読み手が自らすすんでじっくり作品を鑑賞したくなるような文章を、読み手に伝わる言葉で書くこと。授業は2時限の構成で、1時限目は美術館の職員が美術館の展示や補助教材について話し、2時限目は教員が執筆を指導した。
 

(3)コメントの例

セーヌ川が画面の水平方向に流れ、タグボートが進む様子を描いた油彩画
ピエール・ボナール《ヴェルノンのセーヌ川》1912年

「やわらかなタッチで描かれた木々には、黄色い暖かな光が当たっています。花が咲いているのでしょうか、川の向こうの草原はいろんな色で描かれています。一方、川では船がもうもうと煙を出しています。私は、この絵から「自然」と「人工」の対比を感じました。あなたは何を感じましたか?」

「柔らかく、まどろんだ印象を受ける絵。深みのある緑の木々、優しい流れの川、遠くに見える山々、これらは1912年のセーヌ川の風景として描かれたはずなのに、見たことがあるような、どこか懐かしい雰囲気を感じます。同年、作者はこの地域の家を購入したそう。遠い時代の作者のことが、なんだか身近に感じられます。」

「遠いところは淡い色で、まるで霞がかかったかのように描かれており、色の濃淡から遠近を表現しているように見えます。どこか幻想的に思えるのはそのせいでしょうか。小さく咲いている花々や木々が、川を通り行く船を歓迎しているように見え、暖かくのどかな雰囲気を感じます。」
 

(4)担当教員より

美術館の所蔵作品を高校1年生が観て、気付いた事、推理した事、面白いと思った事などを文章にして、作品を観た方に問いかけをしています。読んでいただくと、作品の見え方が広がるかも知れません。

この取り組みは今回で2回目です。生徒達に三重県にゆかりのある作品や、所蔵作品に愛着を持って欲しいと思い美術館と連携しました。

学校が美術館から遠く、どの様に連携すれば良いか模索していました。今回は美術の授業で学芸員の方に来ていただき、パソコンから美術館の所蔵作品をじっくり観て文章を考えました。作品のコメントを通して、来場者の方と作品の面白さを共有できれば幸いです。この取り組みに、ご協力いただいた皆様に心から感謝をしております。ありがとうございました。(森本彩)
 

(5)参考

すべてのコメントはこちらに掲載。
三重県立美術館「コレクションによる特別展示『春をまちわびて 美術から考える自然との調和(=エコロジー)』 高校生のコメント」
https://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/000259506.htm
 


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このページは紙の事業報告書の18ページ下部に相当します。一部、加筆修正しています。
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