2021年 美術館のアクセシビリティ向上推進事業 報告書オンライン版
1.事業概要
(1)趣旨
三重県立美術館は「誰もが利用しやすい環境」を整えることを活動指針のひとつに定めている(「三重県立美術館のめざすこと」2018年策定)。利用機会の公平性の担保は、多くのミュージアムが使命に掲げる一方、一人ひとりと真摯に向き合い「すべての人」を包摂することは、決して容易に達成できる目標ではない。この「美術館のアクセシビリティ向上推進事業(以下、アクセシビリティ事業)」の目的は、美術館を利用しづらい人との協働を経て、美術館のアクセシビリティ(=利用しやすさ)を向上させること。事業の柱となっているのは、美術館を利用しづらい人のニーズに応えると、その他の人、ひいては「すべての人」の潜在的ニーズにも応えられるという基本的な考え方である。
事業立ち上げから2年目となる2021年度は、所蔵品のアクセシブルな展示を試みた展覧会を開催し、展示室に掲出する解説の検討や、講演のアーカイブ映像の公開にも取り組んだ。
(2)実行委員会構成
委員長 速水 豊 三重県立美術館 館長 *中核館
委員 上村一弥 公益財団法人三重県文化振興事業団三重県総合文化センター総務部 部長
委員 松崎由枝 三重県子ども・福祉部障がい福祉課 課長
監事 藤原典子 三重県立美術館ボランティア「欅の会」 会長
(3)これまでの歩み(特別支援学校や障がいのある人、関連団体との連携実績)
2015年度
「アートでつなぐ・三重の文化創造事業」より「芸術活動による障がい者の自立支援事業」
文化庁「地域の核となる美術館・歴史博物館支援事業」
連携校:三重県立くわな特別支援学校、三重県立特別支援学校伊賀つばさ学園
デザイナー:水川史生(en design studio)
美術館の所蔵作品を鑑賞して制作した作品をもとに、デザイナーが製品見本(Tシャツ)を制作
【事業報告ページ】
2016年度
「アートでつなぐ・特別支援学校と地域との連携事業」
文化庁「地域の核となる美術館・歴史博物館支援事業」
連携校:三重県立特別支援学校西日野にじ学園、三重県立特別支援学校玉城わかば学園
アーティスト:松岡徹
作家によるワークショップ@学校、美術館の所蔵品展示@学校、ワークショップ成果展示@美術館
【事業報告ページ】
2017年度
「アートでつなぐ・新しい鑑賞体験創造事業」より「鑑賞ツール開発プロジェクト」
文化庁「地域の核となる美術館・歴史博物館支援事業」
連携校:三重県立城山特別支援学校
デザイナー:楠木一徳(KUSUKI DESIGN)
特別支援学校の協力を得て、デザイナーと美術館所蔵品の鑑賞支援教材「あいうえおブロック」と「キューブパズル」を開発
【事業報告ページ】
2020年度-
「美術館のアクセシビリティ向上推進事業」(継続中)
文化庁「地域と共働した博物館創造活動支援事業」
協力:三重県視覚障害者支援センター、三重県自閉症協会 等
目の見えない/見えにくい人向けの鑑賞プログラムの企画運営や「三重県立美術館ソーシャル・ガイド」の開発
【事業報告ページ】
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このページは紙の事業報告書の2ページに相当します。写真を一部差し替え、加筆修正しています。
写真撮影はすべて松原豊による。
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