B- 企画展-4
年報2012年度版 【開館30周年記念 KATAGAMI Style 世界が恋した日本のデザイン】
2012年8月28日(火)~10月14日(日)
【主催】...三重県立美術館、日本経済新聞社、中日新聞社、三重テレビ放送
【協力】...全日本空輸株式会社、近畿日本鉄道株式会社
【助成】...公益財団法人岡田文化財団、公益財団法人三重県立美術館協力会
【協賛】...井村屋グループ、岡三証券株式会社、株式会社第三銀行、株式会社百五銀行、株式会社三重銀行、日本トランスシティ株式会社、三重交通グループ、有限会社和田金、主体会病院、小山田記念温泉病院、三重県民共済生活協同組合
【担当】...生田ゆき、毛利伊知郎、吉田映子
【デザイン】...酒井田デザイン事務所(酒井田成之)
展覧会の概要
本展は、三重県立美術館開館30周年記念事業の第二弾として企画された。三重県の代表的な伝統工芸である伊勢型紙の技の文様の冴えと、それらが江戸末期から明治初中期にかけて大量に欧米に流出し、現地の美術に影響を与えた事象を、国内外の70箇所からあつめた400点あまりの作品によって紹介することを目的とした。
全体を5章に分け、国内における型紙と型染めの歴史から始まり、海外へ流出後各地の美術運動に影響を与えた様を展観した。国内所蔵先からは、型紙と型染の歴史を理解するため、江戸時代の型紙や裃、小紋、さらには見本帳などを、海外からは、英・仏・独・墺などから絵画、工芸、デザイン、書籍など、型紙との関連が見受けられる作品で構成し、各国ごとに型紙が与えた影響の差を体感できることを目指した。出品作品数は、第1章112点、第2章88点、第3章111点、第4章115点、第5章30点、計456点(展示替え作品を含む)となり、型紙をはじめ、染色、油彩画、宝飾品、ガラス、家具など、多岐にわたる分野の作品を展示した。
従来の伊勢型紙研究においては、伝統工芸や地場産業としての観点からのアプローチに留まっていたが、今回は、西洋美術との関係に着目するという画期的なテーマを設定したことにより、幅広い層にアピールすることが可能となった。現在高齢化と斜陽化が進む型紙を巡る業界においても、本展は大きな刺激となり、型紙や、それを用いての染織産業が再び注目を集めるきっかけを提供できたことは、地元の公立館として喜ばしい反応であった。
実演や講演会など、イベントを毎週末に催すことで、館内一体となって雰囲気を盛り上げようと試みた。型紙を理解するにあたり、技術的な側面は勿論、現在の学術的な研究動向や、産業としての型紙の未来を考えるシンポジウムまで、多彩な内容は型紙への再認識を促すことにつながった。
入館者数は、14,648人。目標人数には及ばなかったが、名古屋、関西方面など他府県からの来館者が目立った。東京会場、京都会場にも足を運ぶなど熱心来館者も見受けられ、型紙への熱の高まりを実感した。染色に関心を持つ層だけでなく、デザイン関係者からの反応も高く、本展で提示したような、新たな視点での型紙解釈が広く受け入れられたと思われる。
左上から: 第1章、第2章、第3章 第4章、第5章 |
||
左から: 展覧会場入り口、型紙彫刻実演風景 |
巡回館情報
三菱一号館美術館 2012年4月6日(金)~5月27日(日)
https://mimt.jp/exhibition/#katagami
京都国立近代美術館 2012年年7月7日(土)~8月19日(日)http://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2012/392.html
会期中のイベント
1)伊勢型紙彫刻・江戸小紋染色実演
○江戸小紋
9月1日(土)、2日(日) 午後2時から
藍田正雄、藍田愛郎
会場:県民ギャラリー前
○伊勢型紙
会期中の上記以外の土日祭日 午後1時~午後4時
伊勢型紙技術保存会
会場:県民ギャラリー前
(各日2人ずつ担当、10月7日は台風による実演中止のため計13回実施)
2)講演会
9月15日(土)午後2時から
「KATAGAMI Style ━もうひとつのジャポニスム」
馬渕 明子(日本女子大学教授)
会場:美術館講堂
参加人数:77名
3)記念シンポジウム
9月23日(日) 午後2時~午後4時
「現代に生きるKATAGAMI」
熊谷 博人(ブックデザイナー)/出澤 忠利((株)印傳屋 上原勇七 取締役総務部長)/三好 拓夫(三好染工(株) 代表取締役
進行:生田ゆき
会場:美術館講堂
参加人数:86名
4)ジャポニスム学会例会(一般聴講可)
9月29日(土) 午後2時~午後4時
「世界に広がる型紙 型紙研究の最前線」
主催:ジャポニスム学会
会場:美術館講堂
参加人数:35名
5)伊勢型紙型彫・江戸小紋記録映像通常版(約10分)を休憩ロビーにて、長尺版(約1時間)をエントランスホールにて常時上映
伊勢型紙・江戸小紋記録映像
http://www.pref.mie.lg.jp/MOVIE/detail.asp?con=4122
同時開催
「極小の宇宙 手わざの粋━伊勢型紙の歴史と展開」展
8月28日(火)~10月14日(日)
三重県立美術館 県民ギャラリー (入場無料)
主催 三重県立美術館、みえミュージアム活性化事業実行委員会
共催 伊勢型紙技術保存会
協力 鈴鹿市 藍田染工(有)
http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/catalogue/KATAGAMI_Style/katagami_kenmingallery.htm
主な記事等
朝日新聞
9月1日(土) 名古屋カルチャー 「KATAGAMI Style」展 日本の装飾美 欧米に影響(高橋昌宏)
9月15日(土) 「世界が恋した「型紙」」(安田琢典)
9月19日(水) 美博なう 「型紙技生かした海苔」
中日新聞
8月29日(水) 「世界のKATAGAMI 模様の魅力に触れて」(安田孝憲)
9月4日(火) KATAGAMI Style(型紙スタイル)(上) リバティ商会「シラン・シルク見本帳」(リバティ社蔵)生田ゆき
9月5日(水) KATAGAMI Style(型紙スタイル)(中) ルネ・ラリック「香水瓶≪赤い珊瑚」(フォルヴィル社)(飛騨高山美術館蔵)生田ゆき
9月6日(木) KATAGAMI Style(型紙スタイル)(下) コロマン・モーザー「テキスタイルデザイン「魚」の下絵」生田ゆき
9月9日(日) 美術館だより ルネ・ラリック「花器:バッタ」(箱根ラリック美術館蔵)生田ゆき
9月11日(火) 文化欄 「日本人の感性が西欧の作家刺激 津市で初の展覧会」(宮川まどか)
10月7日(日) 美術館だより エミール・ガレ「小鉢:唐草」(黒壁美術館蔵)生田ゆき
10月14日(日) 美術館だより アーデルベルト・ニーマイヤー「花器」(ニンフェンブルク磁器製作所所蔵)生田ゆき
日本経済新聞
9月3日(月) 「KATAGAMI展 開催セレモニー 鈴木知事ら参加」
9月13日(木) 美術 「型紙の欧米での影響と変容」(美術史家 山脇佐江子)
三重タイムス
8月24日(土) 「「KATAGAMI Style」世界が恋した世界のデザイン」
9月7日(金) 「もうひとつのジャポニスム 世界が恋した日本の伝統工芸 KATAGAMI展~三重県立美術館」
雑誌その他
『REAR』第29号、2013年3月19日発行
レビュー「開館30周年記念 KATAGAMI Style 世界が恋した日本のデザイン」 鯨井秀伸
http://2525kiyo.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/29-5812.html
美術館関係発行物
『Hill Friends』 90(三重県立美術館友の会だより 90号)、2012年8月9日発行
表紙の作品解説(リバティ商会《絹プリント見本帳》1900-1905年頃、《型紙 梅に変り芝翫縞》)生田ゆき
「開館30周年記念企画 KATAGAMI Style 世界が恋した日本のデザイン」生田ゆき
『アートプレス』 vol3 2012年8-11月 5-6頁
主な放映等
ラジオ
東海ラジオ「こんにちは三重県です」(「かにタク言ったもん勝ち」内)(電話インタビュー)
2012年8月28日(火)
FM三重「こんにちは三重県です」(「広瀬隆のラジオ魂!」内 (スタジオインタビュー)
2012年8月28日(火)
FM三重「MIEリポート」(「広瀬 隆のラジオ魂!」内)(展示室レポート)
2012年8月29日(水)
http://www.fmmie.jp/program/radioSpirits/
東海ラジオ 天野良春“リアル”(電話によるインタビュー録音)
2012年9月8日(土)
受賞
美術館連絡協議会 「優秀論文賞」(個人表彰)【自主展部門】
「型紙は語る 海を越えた型紙をたずねて」 (「KATAGAMI Style」展カタログ所収)
http://event.yomiuri.co.jp/jaam/list2012.cfm