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美術館 > 刊行物 > 年報 > 1989年度版 > 年報1989 調査・研究

調査・研究

A.「鹿子木孟郎」調査

鹿子木孟郎(かのこぎ・たけしろう)調査委員会(以下、調査委)は、藤島武二の後任として、三重県尋常中学校の図画教諭を勤めた岡山県出身の洋画家、鹿子木孟郎の学術調査を、1985年4月の調査委の発足以来、実施している。第1次調査は、1987年8月9日の調査報告をもって終了したが、85年から87年の調査結果を踏まえて、89年度は、三重県立美術館において、『鹿子木孟郎水彩・素描展』【8月9日(水)~8月27日(日)】が開催された。同展は、三重県立美術館と調査委の主催で、三重県立美術館・県民ギャラリーにおいて開かれ、鹿子木孟郎の水彩・素描計119点余(同展カタログ掲載分+補遺)を展示した。同展カタログには、陰里鐵郎館長による「鹿子木孟郎水彩・素描展--鹿子木孟郎調査委員会について」と、荒屋鋪透学芸員による「鹿子木孟郎とルネ・メナール--素描にみる鹿子木の主題・技法の展開」と題する報告がなされた。調査委は本展を端緒にして、89年8月9日(水)に第5回調査委会議を開き、90年度開催にむけて「没後50年 鹿子木孟郎展」開催を協議した。

B.「橋本平八」調査

伊勢朝熊町出身の木彫家、橋本平八に関する調査は1985年に開催した「橋本平八と円空」展以後、着実に進められ、87年には鹿島美術財団の助成金を得て、橋本家所蔵の日記類の読み取り作業を原歌氏の協力を得て行った。その成果である400字詰原稿用紙1,300枚に及ぶ原稿は、日本近代美術史上きわめて重要であり、出版物として刊行する準備を進めている。本年度は日記に描かれた素描を撮影、同時に当館所蔵および寄託の平八作品を中心に、作品調査を行っている。

C.「宇田荻邨」調査

松阪市出身の日本画家宇田荻邨は、大正から昭和にかけて京都画壇の注目すべき画家として活躍した。87年度に(財)岡田文化財団より寄贈を受けた下絵178点、スケッチブック121冊に及ぶ資料調査を88年度より開始した。89年には鹿島美術財団の研究助成を得て、「近代日本画の下絵の研究-宇田荻邨を手掛かりにして」というテーマで調査研究を行い、主要作品の写真撮影等の作業を進めた。その成果の一端は、「岡田文化財団寄贈作品集」にまとめられ、また「鹿島美術財団年報」にも調査成果を掲載した。

D.「増山雪斎」調査

伊勢長島の藩主であった江戸中後期の画家、増山雪斎は、南蘋派の花鳥画家として著名である。開館前の県内調査や87年度の鹿島美術財団助成金による調査などを経て現在までに数十点にのぼる作品の調査が終わっている。そのなかには花鳥画のほか人物画や山水画も含まれている。この成果をふまえて今後数年以内に「増山雪斎展」の開催を計画している。

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