【東京国立近代美術館所蔵品による 名品でたどる近代工芸のあゆみ】
2005年10月5日(水)~11月13日(日)
【主催】…三重県立美術館
【特別協力】…東京国立近代美術館
【担当】…東俊郎
◎日本の工芸は、長い歴史のあいだに培われた繊細微妙な技術をたもちながら、近代にはいっても、そのふさわしいありかたを模索することで発展してきた。もちろんその方向は単純なものではなく、移りゆく時代ごとに、美術としてのかんがえかた、素材のもんだい、生活や産業などと深くかかわりながら、多様で重層的な展開をくりひろげてきた。
明治時代には、海外での万国博覧会への出品作品や輸出工芸作品にみられるような、きわめて複雑で精緻な技術中心の作品が制作されている。また明治末ころからは、美術としての工芸、いわゆる芸術家としての美術作品をつくろうとする動きがでてきた。そして、アール・ヌーボーなどの外国の美術様式をとりいれた作品が生まれている。その後も、さまざまな工芸運動がこころみられたが、大正末ころから昭和前期には、当時ヨーロッパで流行していたアール・デコや構成主義などの影響がつよくみられる。民芸運動が興ったのもちょうどこの時期からだった。
第二次世界大戦後は、官展の流れをくむ日展、文化財保護法を基盤とする日本伝統工芸展、実用性を重視したクラフト、オブジェとしての工芸をこころざす新しい傾向など、さまざまな運動が活発に行われ、日本の戦後工芸の潮流をかたちづくっている。また現代は、工芸の意味を徹底的に追求した個性的な作品が、多くの作家によって制作されている。
今回の展覧会は、こうした複雑で多岐にわたる日本近代工芸の流れを、東京国立近代美術館所藏の名品約100点でたどってみようとした。
鈴木長吉《十二の鷹》1893年
会期中の催し
学芸員によるギャラリートーク
日時 10月15日(土)、10月22日(土)、10月29日(土)
午後2時から
10月 9日(日) | ・「芹沢金圭介の美の世界」 |
・「竹工芸・飯塚小王干斎」 | |
10月16日(日) | ・「志野に生きる 鈴木藏」 |
・「紬に生きる」─宗廣力三─ | |
10月23日(日) | ・「変幻自在」─田口善国・蒔絵の美─ |
・「十三代今右衞門「薄墨の美」」 | |
10月30日(日) | ・「木の生命よみがえる」─川北良造の木工芸─ |
・「藤本能道の色絵磁器」 | |
11月 6日(日) | ・「十三代今右衞門「薄墨の美」」 |
・「芹沢金圭介の美の世界」 | |
11月13日(日) | ・「志野に生きる 鈴木蔵」 |
・「変幻自在」─田口善国・蒔絵の美─ |
時間・場所 午後2時から 美術館講堂にて(無料)
ミュージアムコンサート
「宮廷の愛の語り部」
11月5日(土) 午後6時から
エントランスホール
演奏 宇田川貞夫(ヴィオラ・ダ・ガンバ&ヴォーカル)
高本一郎 (キタローネ)
お茶会 毎週土曜日 10:00-15:30
エントランスホール
350円(お茶菓子付き)
会場風景
第1室
第2室
第3室
第4室