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美術館 > その他 > その他 > 2021年度 美術館のアクセシビリティ向上推進事業 報告書オンライン版 2(3)アクセス展来館者

2021年 美術館のアクセシビリティ向上推進事業 報告書オンライン版 
2.「美術にアクセス!――多感覚鑑賞のすすめ」展

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(3)来館者

来館者アンケート

来館者アンケートの回答方法は紙とオンラインフォームの2通り。回答数は計61件(紙49件、オンライン12件)。質問項目は当館が企画展開催時に実施しているアンケートと共通のものである。 

全体分析 

・展覧会全体や展示補助教材の満足度は、4段階のうち「満足」と「やや満足」の合計が9割を下回っており、他の展覧会と比較しても決して高くはなかった。
・館内のスタッフに対する満足度は、「満足」と「やや満足」の合計が100%という非常に高い結果になった。
・印象に残った展示として、第3章の「彫刻にさわる」と第4章「オノマトペと共感覚」を選んだ回答者が多かった。
・当館への来館回数は「はじめて」が16%と高め。Cf. 直前の「若冲と京の美術」展では10%
・ミュージアム全般の利用頻度は低め。0-1回/年が46%(若冲展23%)、2-5回/年が34%(若冲展53%)。
・1人で来館した人が64%。
・自ら障がいのある当事者であると書いて感想を記入する来館者もいたため、会場で直接会話することはなくても、アンケートを通して意見収集ができた(3件)。
・展覧会の印象は、「テーマが面白かった」が25%、「考えさせられた」が18%、「多くのことを学べた」「展示作品が良かった」が14%。他の展覧会では「展示作品が良かった」が1位になることが多い。 

アンケート回答の抜粋

「視覚障害が進んできて、美術館をたのしめなくなっていたが、こういう取組をしてもらっているとわかり、うれしく希望がもてた。」
「企画のテーマはワクワクするもので、私自身も興味があるテーマなのですが、内容がやや薄いかもしれないと思いました。個人的な見解ですが、来る人が楽しめる企画内容が良いと思いました。」
「いろいろなアプローチでの美術の楽しみ方を試みたのは面白いです。コロナ禍ということもあり音声や来館者と話すような場があればもっとよかったかと思います。」
「ただ鑑賞法を提案しているのではなく、所蔵作品の面白さや良さを示していたため。」(展覧会に満足した理由として)
「誰もがアートを楽しめるいいきっかけになると思います。」
「いろんな人の視点(立場も)で美術鑑賞を考え企画してくださったこと、嬉しく思いました。」
「今までのイメージとは違った新しい美術館と思った。」
「障がい者向けの取り組みを紹介する内容とは知らずに来たので、最初は少し驚いたが、いろいろな取り組みを知るうちに、美術への可能性を感じた。」
「展示が思ったより少ない。」
「子供が薄暗いのを怖がった為、ゆっくり見れず残念でした。」
「子どもにとってむずかしい作品を身近にかんじる事ができ、絵の背景にも興味をもてたようです。」
「感覚的に、自分には障がいがあるのかなあと思った。」(補助教材に不満を覚える理由として)
「多感覚の鑑賞が押しつけになっていました。三重県美の名作は、「多感覚」で鑑賞するものでしょうか。」
「名画名作を静かに鑑賞したかった。余計な仕掛が却って邪魔になりました。」 

その他の声

「視覚中心の作品を、こんな観点からも鑑賞することができるのだということが体感できる、とても刺激的で楽しい展覧会でした。」(【来館者のブログ】より *許可を得てオンライン版にはウェブサイト「小原二三夫の部屋」該当ページのリンクを張っています)
・展覧会の情報がなかなか得られなかった。広報媒体はもう少し工夫した方が良いかもしれない。7月の『はなしょうぶ(三重県視覚障害者支援センター広報誌)』の記事でようやく展覧会の開催を知った。(三重県視覚障害者協会の団体来館時の聞き取りにて)
・入口のパネルでコンセプトをすべて見せるより、最後に「実はこうだった」と見せた方がより自然に鑑賞できたのでは。(博物館関係者の視察時に)
・展示室の外の案内[展示室までのアプローチなど]も分かりやすくすると良いかもしれない。(同上) 
 

監視スタッフアンケート

来館者アンケートからも、アクセス展に来場した人のさまざまな意見を得ることができたが、回答者は来場者の2%に満たない。会期中に最も来館者と対話し、来館者を見守っていたのは、監視スタッフや、インフォメーションのボランティアスタッフである。以下は、閉幕後に監視スタッフ対象に実施したアンケートの回答の抜粋。回答件数は10件。個別のディスプレイに関する回答は【前のページ】で紹介した。 

これまであまり館内で見かけなかったけれど、アクセス展に来場していた人は?来場者の印象は?

「思ったより若い層の方が来館されていた。」
「視覚に障がいのある人が多かった」
「白杖の方は後半になってきてくれた」
「学生さんがレポートを書いたり、同業者的な方が写真を撮っていたり」
「介護関係を勉強されている様な方がたくさんいらっしゃった」
「障がいのある方に携わっている方、教員の方や学生さんなど熱心な方が多かった」
「ひとつひとつ熱心に時間を掛けて見ていかれた方も多かった」 

あれば良かったというものは?

「かわいい『メインキャラクター』」
「分かりやすいご案内(展示室の場所、傘立て)」
「[視覚に障がいのある人のための誘導]マット、手すり」
「今はコロナのため無理ですが、好きなだけ作品の感想を話しながら見れる展覧会もあってもいいのにな」 

その他、気づいたことは?

「視聴覚障がいの方も楽しめる企画でしたが、対象の方があまり来られてなかったように思うので残念です。」
「元永さんの作品をみて、ベビーカーにのった赤ちゃんがすごく反応して声を出して笑って喜んでいました。[略]こちらまでうれしくなりました。」
「耳のきこえないご夫婦が来られた時[略]こちらはメモに書いて伝えさせていただいたのですが[略]手話を習っておけばよかったなぁと思いました。ご夫婦では手話で話されておりました。」


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このページは紙の事業報告書の9ページに相当しますが、大幅に加筆しています。
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