「美術にアクセス!」展音声解説24 皮膚感覚 約1分40秒
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【以下、読み上げ原稿です。】
皮膚感覚-美術にかゆみや痛みを感じる
この部屋の最後のコーナーでは、かゆみや痛みを連想させる作品2点を紹介します。
旧約聖書の『ヨブ記』において、信心深いヨブは、財産や家族を奪われ、数々の試練でもって信仰を試されます。ウィリアム・ブレイクの版画集『ヨブ記』の1点に描かれているのは、ヨブが足の裏から頭のてっぺんまで「腫物」で悩まされるという場面です。腫物とはできもののことです。この作品では、ヨブの皮膚の炎症より、悪魔によるヨブへの攻撃に表現の重点が置かれているようです。ヨブの足元には、絶望してうなだれる彼の妻の姿も描かれています。ヨブは、この厳しい試練を乗り越えますが、こわばった身体から苦痛に耐えかねる様子が伝わってきます。
その隣に展示しているのは、スペインの現代作家ナティビダー・ナバローンによる立体作品。ナバローンは1961年生まれの女性作家で、この作品は「私のからだ:鎮痛と恐れ」というシリーズのうちの1点です。ふかふかとした赤い布でおおわれた「私のからだ」が、この作品では針と糸で縫い合わされようとしています。