「美術にアクセス!」展音声解説40 第4章 約2分
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【以下、読み上げ原稿です。】
第4章 オノマトペと共感覚
オノマトペとは、音や声、動きや状態などを表した言葉。ごつごつ、しゅわしゅわ等。
共感覚とは、ある刺激に対して、通常の感覚だけでなく、別の感覚も自動的に引き起こされる現象のことです。例えば、色を見て音を感じる等。
最終章では、三重県出身で当館も多くの作品を所蔵する元永定正の絵画を紹介します。出品作品のなかには「Piron Piron」や「Nyu Nyu Nyu Nyu」というタイトルの絵画があります。
「ぴろんぴろん」という言葉から、どのようなものを想像しますか。「ぴろんぴろん」という音を想像した人もいれば、「ぴろんぴろん」した見た目を想像した人もいるかもしれません。あるいは、「ぴろんぴろん」は手ざわりかもしれません。状態を表した擬態語とも、音を表した擬音語とも言えない、この不思議なオノマトペは、個別の感覚にあてはめて説明できるようなものではありません。第2章で「共感覚的な」鑑賞を提案しましたが、私たちには、視覚や触覚、聴覚などのさまざまな感覚を行ったり来たりできる自由な想像力が備わっているようです。
今回の展覧会では、想像力で感覚を結び付けたり、複数の感覚を一緒に活用したりする鑑賞方法を提案してきました。ユーモラスで底抜けに明るい元永作品を、ぜひ感覚を研ぎ澄ませてお楽しみください。