「美術にアクセス!」展音声解説10 第1章 約2分15秒
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【以下、読み上げ原稿です。】
第1章 鑑賞するために
美術館で展示している作品の多くは、目で見ることによって認識できる芸術です。視覚という感覚の特性上、見られる作品と見る「私」の間には必然的に距離が生まれます。その距離を縮めて、作品に自分からアプローチするのは、実はとても難しく、挑戦しがいのある試みです。自分から積極的に作品を鑑賞するためには、どのような工夫が必要でしょうか。
美術館では、来館者の鑑賞体験の充実のために、さまざまな取組を行っています。例えば、レクチャーやワークショップ等の教育プログラムの企画や運営。また、パネルや印刷物等、教材の掲示や配布も行っています。
作品と見る人の距離を縮めるためには、視覚以外の感覚の活用も有効です。過去の特別支援学校との連携事業では、複数の感覚を活用する鑑賞プログラムが行われました。そのような鑑賞方法を指して、今回の展覧会のサブタイトルには「多感覚鑑賞」という造語を用いています。多感覚の鑑賞は、子どもや障がいのある人向けの教育プログラムで重視されている鑑賞方法でもあります。
ここでは、これまで当館で最も多くの教材が開発されてきた2点の所蔵品と、それらの鑑賞に役立つ教材を一緒に紹介します。2003年度に開発された「触ってセット」から、昨年度新たに製作した、作品1点につき2種類のオーディオガイドまで、さまざまな教材を体験していただくことができます。見たり、聞いたり、さわったりすることを組み合わせながら、作品にアクセスしてみてください。