B- 企画展-3
年報2012年度版 【子ども美術館Part 8 かわいいってなんだろう?】
2012年7月18日(水)~8月19日(日)
【主催】...三重県立美術館
【担当】...鈴村麻里子、田中善明
【デザイン】...つつみあれい
展覧会の概要
現代を生きる私たちにとって、「かわいい」は、なじみ深い言葉の一つであると言える。愛らしいもの、小さいものを愛おしむ感情は、古より多くの人々に共有されてきたものであり、近年に至っては、「かわいい/kawaii」の言葉や概念は国境を越えてますます広く理解されつつある。本展覧会は、そのような普遍的である一方でとらえがたい言葉「かわいい」を軸にしながら、当館のコレクションを親しみやすく展示し、子どもたちに美術や美術館を身近に感じてもらうことをねらいとした。「かわいい」作品とはいったいどのような魅力を備えているのか、そもそも「かわいい」とは何であるのか、作品鑑賞を通して、自分や周囲の人々の価値観に改めて目を向けてもらうことも本展の目的の一つとした。
本展は、作品へのアプローチの仕方をさまざまな視点から紹介する「子ども美術館」シリーズ第8弾。当館コレクションより「かわいい」という視点からのアプローチが可能だと考えられる作品(油彩、日本画、水彩・素描、版画、彫刻)を30点、天井が高く開放的な企画展示室4室で展示した。セクションはモチーフやジャンルごとに緩やかに4つに分け、共通点の多い作品を比較しながら鑑賞しやすい並びとした。会場には、つつみあれいのイラストによる、キャラクターをかたどったパネルも設置し、来場者には無料でセルフガイドを配布した。過去の当館での「子ども美術館」セルフガイドから、キャラクターによる対話というスタイルを踏襲し、来場者が自然に対話の内容に反応しつつ、相槌を打ったり首を傾げたりしながら、ガイドを用いて能動的に鑑賞することを意図した。しかしながら、展示室内で実際に作品を前にしながらガイドを読む鑑賞者の姿はあまり見られず、より効果的な鑑賞補助ツールのありかたを再度検討する必要性も痛感した。作品の隣にある平易な言葉で書いた解説パネルの方がむしろ展示室内では活用されていたように思う。
さらに、会場内にはいくつか質問コーナーを設け、低いステージの上に自由記入式のノートを置いた。鉛筆とノートという素材そのものの気安さもあってか、非常に多くの「書き込み」があった。実際には書き込まないにしても、ノートの中身を読む鑑賞者の姿は多く見受けられた。
平面作品は中心が床から115㌢になるように展示した。画面の位置が低いので結界は置かず、表面保護のない作品の前のみテープで目印を設けた。会場入り口では鑑賞時のマナー「さわらない・しずかに・ゆっくり歩く」をイラストで明記したパンフレットを配布し、鑑賞者にそれらを守るよう促した。手をつないで鑑賞する親子連れの姿も多く見られた。
会期中のイベント
美術館のうらがわたんけん
開催日時 7月28日(土) 午前10時30分~午前11時30分、午後2時~午後3時
参加人数 23名(小学生対象)
小学生を対象にバックヤードツアーを実施。
http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/education/family/2012family.htm
夏休みこどもひろば「かわいいをつくろう!!」
開催日時 8月11日(土) 午後1時~午後3時、8月12日(日) 午後1時~午後3時
参加人数 8月11日(土) 21名、 8月12日(日) 20名 (小学生対象)
三重大学教育学部美術教育コースとの連携プログラム
http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/art-museum/education/family/2012family.htm
主な記事等
中日新聞
「モーリス・アスラン《少女像》」(鈴村麻里子)2012年7月22日
「小林研三《私の家》」(鈴村麻里子)2012年7月29日
「小林古径《旅路》」(鈴村麻里子)2012年8月12日
「岸田劉生《麦二三寸》」(鈴村麻里子)2012年8月19日
読売新聞
「「かわいい」アート30点」2012年7月18日
MOE(web版)
「「かわいいってなんだろう?」展、好評開催中!」(南谷佳世)2012年8月11日更新