福田繁雄(1932-2009)
《フクダの階段》
1985年
木工、金属
85×170×105cm
二戸市シビックセンター福田繁雄デザイン館所蔵
© Shigeo Fukuda
Photo courtesy of Shizuko Fukuda
cat.no.250
階段は、踏面(ふみづら)=水平面と蹴込(けこ)み=垂直面が、順々に連なってできている。
さて、掲載した図版では、真ん中の垂直面にぶどうが引っかかっている。しかし実物の正面に立ってみれば、ぶどうは水平面の上にのっているだけだ。
今度は、向かって斜め左の方から眺めてみられたい。しばらくすると、水平面と垂直面が入れ替わり、ぶどうが宙吊りになっているかのような視点が見つかることだろう(実のところ、この視点を見つけるには少し時間がかかるようだ)。
実物では各段の左右が斜めに突きだしており、それを縦と横と見なせるほど斜めの視点に立てば、ひずんだ形ではあれ、凹と凸、水平垂直が入れ替わって見えるという仕掛けである。安定していてしか・驍ラき水平・垂直軸が、ここでは混乱に陥ってしまうことになる。
(石崎勝基)
中日新聞2011年8月28日