福田繁雄(1932-2009)
《カゴメケチャップ》
1970年
オフセット 103×72.8cm
DNP文化振興財団所蔵
© Shigeo Fukuda
Photo courtesy of Shizuko Fukuda
cat.no.35
真っ白なひろがりの中、真っ赤な食器のセットが規則正しく、はてしなく連なっていく。
食器の赤は、宣伝すべき商品であるケチャップを暗示し、無限の連なりは、達成すべき宣伝効果を表すのだろう。
広告媒体としてのポスターの意味づけはそんな風に読み解ける。それにしても、デザインはいかにもあざやかだ。
福田は単一のイメージを中心にぽんと差しだすことが多いが、ここでは、赤と白だけによる小さな単位の反復が、現実離れした無限空間を表している。
食器は全て真上から見下ろされているが、通常の遠近法からすると斜めでなければならない。この点も空間の非現実性を強めているのだろう。
他方、単調な連なりの中で、右下の写真と下辺沿いの黒い文字だけが例外として配され、画面を引きしめている。
(石崎勝基)
中日新聞2011年7月24日