福田繁雄(1932-2009)
《バード・ツリー》
1965年
木工 28×22×10cm
二戸市シビックセンター福田繁雄デザイン館所蔵
© Shigeo Fukuda
Photo courtesy of Shizuko Fukuda
cat.no.211
福田繁雄が玩具の制作を手がけたのは、娘の誕生がきっかけだった。市販の玩具に気に入ったものが見つからず、それなら自分で作ってやろうと思いたったのである。その際、遊んだ後で片づけるのが苦手だった我が身を振り返って、後片づけも楽しめる玩具を目ざしたという。
この作品は、木の葉っぱの部分を取りだすと、十羽の鳥になる。鳥の数、置き方は幾通りにも変化することだろう。単純なパズルであるからこそ、柔軟な変化の可能性を宿すことができるわけだ。
福田は「遊びの中に秩序を盛り込もうと試みた」と述べている**。この点は、ポスターのデザインに通じるものと見なせるかもしれない。
福田における立体作品の端緒となった玩具は、二百点以上制作され、また『おもちゃ』、『手づくり玩具』といった著述にもつながっていくことになった。
(石崎勝基)
中日新聞2011年7月17日
* 展示されている作品では、鳥の背中は緑に塗られていません。
** 『福田繁雄 標本箱』、美術出版社、1978、p.111。