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美術館 > 展覧会のご案内 > 常設展(美術館のコレクション) > 2003 > 常設展示2003度第1期(2003.12-2004.3)

美術館のコレクション 2003年度第Ⅰ期展示

2003年12月16日(火)~2004年3月28日(日)

第1室:日本近代洋画と西洋の絵画

 

 日本の美術は、古くから外国美術との様々な交渉を持ちながら展開してきました。江戸時代以前は、日本美術はごく一部を除いて中国美術から圧倒的な影響を受けていましたが、明治時代以降はヨーロッパ美術がわが国美術界の規範となります。明治以降に日本人画家たちが西洋絵画の技法と画材によって描いた洋画の歴史は、千年以上という長期間にわたって日本人が形づくってきた東洋的絵画世界を、新しく到来した西洋絵画の世界に混淆させていく一つの実験の歴史であったということができます。こうした背景を持つこと、それこそ日本「近代」の特殊性でした。「近代洋画」という言葉が持つ固有の意味は、まさにこの点にあります。この展示室では、そうした日本人の手になる明治以降の洋画と、彼らが憧憬の対象とした西洋近代の絵画を紹介します。

 

第1室:日本近代洋画と西洋の絵画

 

作者名 生没年 作品名 制作年 材料
浅井忠 1856-1907 小丹波村 1893(明治26)年 油彩・キャンバス(パネル貼り)
梅原龍三郎 1888-1986 霧島 1936(昭和11)年 油彩・カンヴァス
荻須高徳 1901-1986 街角(グルネル) 1929-30(昭和4-5)年 油彩・キャンバス
鹿子木孟郎 1874-1941 狐のショールをまとえる婦人 1902(明治35)年 油彩・キャンバス
黒田清輝 1866-1924 夏の海 制作年不詳 板・油彩
黒田清輝 1866-1924 雪景 1919(大正8)年 油彩・板
小出楢重 1887-1931 裸女立像 1925(大正14)年 油彩・キャンバス
古賀春江 1895-1933 煙火 1927(昭和2)年 油彩・キャンバス
佐伯祐三 1898-1928 サンタンヌ教会 1928(昭和3)年 油彩・キャンバス
岸田劉生 1891-1929 自画像 1917(大正6)年 クレヨン、コンテ・紙
原田直次郎 1863-1899 老人像 1886(明治19)年頃 油彩・キャンバス
藤島武二 1867-1943 セーヌ河畔 1906-07(明治39-40)年 油彩・キャンバス
藤島武二 1867-1943 大王岬に打ち寄せる怒濤 1932(昭和7)年 油彩・キャンバス
藤田嗣治 1886-1968 猫のいる自画像 1927(昭和2)年 油彩・キャンバス
村山槐多 1896-1919 自・鞫・/TD> 1916(大正5)年 油彩・キャンバス
安井曾太郎 1888-1955 女立像 1924(大正13)年 油彩・キャンバス
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 1746-1828 アルベルト・フォラステールの肖像 1804年頃 油彩・キャンバス
シャガール、マルク 1887-1985 1956-62年 油彩・キャンバス
ダリ、サルバドール 1904-1989 パッラーディオのタリア柱廊 1937-38年 油彩・キャンバス
フォンタネージ、アントニオ 1818-1882 沼の落日 1876-78年頃 油彩・キャンバス
ミロ、ジョアン 1893-1983 女と鳥 1968年4月11日 油彩・キャンバス
ムリーリョ、バルトロメ・エステバン 1617-1682 アレクサンドリアの聖カタリナ 1645-50年頃 油彩・キャンバス
モネ、クロード 1840-1926 橋から見たアルジャントゥイユの泊地 1874年 油彩・キャンバス
モネ、クロード 1840-1926 ラ・ロシュブロンドの村(夕暮れの印象) 1889年 油彩・キャンバス
ルオー、ジョルジュ 1871-1958 キリスト磔刑 1939年頃 油彩・紙(キャンバスで裏貼)
ルドン、オディロン 1840-1916 アレゴリー 1905年 油彩・キャンバス
ルノワール、オーギュスト 1841-1919 青い服を着た若い女 1876頃 油彩・キャンバス 
 

第2室:近代の版画

 

世界に1点限りであることを何よりも尊ぶ価値観からすれば、版画が宿命として背負う複製可能性は、積極的に評価されないかもしれません。しかしその一方で、洋の東西を問わず、多くの画家達が版画というジャンル魅了され、格闘してきました。例えば、ゴヤやルドン、シャガールなどは、油絵でも鮮やかな腕前を披露しつつ、画業の節目には版画に取り組み、手慰みの域を遥かに超えた独創的な作品を残しました。描線、色彩双方の面からも何らかの「制約」を課されるにも関わらず、むしろそれらを自らの創造の原動力へと変え、画家達は新たな表現を模索してきました。素材や技法の多様性をどう生かすか、制作の際に生じる偶然性をどう調停するか。それは言い換えれば、版画というメディアが可能にした画家たちの挑戦の軌跡でもあるのです。 

第2室:近代の版画

 

作者名 生没年 作品名 制作年 材料
ブレスダン、ロドルフ 1822-1885 死の喜劇 1854年 リトグラフ・紙
エッシャー、M.C. 1898-1972 メタモルフォーシス II 1939-40年 木版・紙
カンディンスキー、ワシリー 1866-1944 版画集 『小さな世界』   1922年 木版, リトグラフ, ドライポイント・紙
シャガール、マルク 1887-1985 版画集「サーカス」 1967年 リトグラフ・紙
ピカソ、パブロ 1881-1973 ふたつの裸体 1909年 ドライポイント・紙
ブラック、ジョルジュ 1882-1963 葉・色彩・光 1953年 リトグラフ・紙
ミロ、ジョアン 1893-1983 アルバム13  1948年 リトグラフ・紙
メリヨン、シャルル 1821-1868 ノートルダムの給水塔 1852年 エッチング, ドライポイント・紙
メリヨン、シャルル 1821-1868 塔・医学校通り 1861年 エッチング, ドライポイント・紙
ブレイク、ウィリアム 1757-1827 「ヨブ記」より  第15図:ベヘモトとレヴィアタン 『ヨブ記』40:15、41:34 1825年 エッチング・紙
ブレイク、ウィリアム 1757-1827 「ヨブ記」より  第16図:サタンの墜落 『ヨブ記』36:17、42:1-7 1825年 エッチング・紙
ブレイク、ウィリアム 1757-1827 「ヨブ記」より  第20図:ヨブと娘たち 『ヨブ記』42:13-15 1825年 エッチング・紙
ルドン、オディロン 1840-1916 ヨハネ黙示録(2)《-わたしはまた、御座にいますかたの右の手に巻物があるのを見た、その内側にも外側にも字が書いてあって、七つの封印が封じてあった。》 1899年 リトグラフ・紙
ルドン、オディロン 1840-1916 ヨハネ黙示録(3)《・・・そして、それに乗っている者の名は「死」と言った、》 1899年 リトグラフ・紙
ルドン、オディロン 1840-1916 ヨハネ黙示録(4)《御使、香炉を手に持って、》 1899年 リトグラフ・紙
ルドン、オディロン 1840-1916 ヨハネ黙示録(6)《・・・ひとりの女が太陽を着て、》 1899年 リトグラフ・紙
ルドン、オディロン 1840-1916 ヨハネ黙示録(7)《また、もうひとりの御使が、天の聖所から出てきたが、彼もまた鋭いかまを持っていた。》 1899年 リトグラフ・紙
ルドン、オディロン 1840-1916 ヨハネ黙示録(8)《またわたしが見ていると、ひとりの御使が、底知れぬ所のかぎと大きな鎖とを持って、天から降りてきた;》 1899年 リトグラフ・紙
ルドン、オディロン 1840-1916 ヨハネ黙示録(9)《・・・これを千年の間つなぎおき;》 1899年 リトグラフ・紙
ルドン、オディロン 1840-1916 ベアトリーチェ 1897年 リトグラフ・紙
ルオー、ジョルジュ 1871-1958 受難(1)<扉絵:市門に立つキリスト> 1935年 シュガー・アクアティント、アクアティント(多色)・紙
ルオー、ジョルジュ 1871-1958 受難(6)<キリストと貧者たち> 1936年 シュガー・アクアティント、アクアティント(多色)・紙
ルオー、ジョルジュ 1871-1958 受難(9)<この苦しむ人を見よ> 1936年 シュガー・アクアティント、アクアティント(多色)・紙
ルオー、ジョルジュ 1871-1958 受難(15)<キリストと黄金魔神> 1936年 シュガー・アクアティント、アクアティント(多色)・紙
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 1746-1828 戦争の惨禍(12)《そのためにお前たちは生まれたのだ》 1810-20年 エッチング、ラヴィ、ドライポイント、ビュラン・紙
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 1746-1828 戦争の惨禍(59)《茶碗一杯が何になろう?》 1810-20年 エッチング、アクアティント、ラヴィ・紙
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 1746-1828 戦争の惨禍(73)《猫のパントマイム》 1810-20年 エッチング、ビュラン、バーニッシャー・紙
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 1746-1828 戦争の惨禍(78)《見事な防戦だ》 1810-20年 エッチング、ドライポイント、ビュラン、バーニッシャー・紙
ゴヤ・イ・ルシエンテス、フランシスコ・デ 1746-1828 戦争の惨禍(80)《彼女はよみがえるだろうか?》 1810-20年 エッチング、バーニッシャー・紙
 

第3室:鉄格子から大脱走

 

 たとえば窓の桟のような形で、絵の中に格子模様がとりこまれるのは、必ずしも珍しいことではありますまい。ただそれが、(装飾の領域を別にすれば)絵画において画面全体を覆いかねないほど表舞台に出てくるようになるのは、抽象が成立した二十世紀に入ってからといってよいでしょう。そこでは、四角い画面の縦横の辺をくりかえすことで、格子は、四角く平らなひろがりという画面のあり方自体を指ししめすもの、ひいては画面を純粋化し強化するものと見なされたと解することができます。

 しかし個々の作品においては、画面を格子で分割すればよしとは、なるはずもありませんでした。実際の制作では、色彩、絵肌の質感、格子の配置など、さまざまな因子が介入してきます。そしてそれらの介入によって、あらかじめ定められた格子の性格が変容してしまう点にこそ、表現が成立する場面を認めることができるのではないでしょうか。

鉄格子から大脱走」(『三重県立美術館所蔵作品選集』2003)

鉄格子から三度目の大脱走」(『欅しんぶん』no.144, 2004.3.20)

    

第3室:鉄格子から大脱走

作者名 生没年 作品名 制作年 材料
伊藤小坡 1877-1968 伊賀のつぼね(下絵) 1930(昭和5)年 紙本着色
梅原龍三郎 1888-1986 山荘夏日 1933(昭和8)年 油彩・キャンバス
村井正誠 1905-1999 支那の町 No.1 1938(昭和13)年 油彩・キャンバス
石井茂雄 1933-1962 暴力シリーズ-戒厳状態 II 1956(昭和31)年 油彩・キャンバス
石井茂雄 1933-1962 不詳(からみあう線) 1958(昭和33)年 エッチング、アクアチント・紙
石井茂雄 1933-1962 不詳(崩壊する都市、壁) 1958(昭和33)年、1994(平成6)年再刷 エッチング、アクアチント・紙
磯辺行久 1936- WORK63-28 1963(昭和38)年 ミックスドメディア
清水九兵衞 1922- 過程 Ⅳ 1992(平成4)年 黒鉛,インク・紙
清水九兵衞 1922- 過程II 1991(平成3)年 黒鉛,インク・紙
伊藤利彦 1928- Condition(目測の30センチメートルの線) 1977(昭和52)年 油彩・キャンバス
飯田善國 1923- クロマトポイエマ 全22点 1972(昭和47)年 シルクスクリーン・紙
加納光於 1933- 版画集「稲妻捕り」  全12点 1977(昭和52)年 リトグラフ・紙
保田春彦 1930- 都市1・試作(1) 1985(昭和60)年 鉄・赤錆
保田春彦 1930- 都市2・試作(2) 1985(昭和60)年 鉄・赤錆
若林奮 1936-2003 版画集「ノート鮭の尾鰭」   全14点 1978(昭和53)年 エッチング, ドライポイント・紙
加藤悦郎 1954- Rain or shine-106 1999(平成11)年 墨、岩彩・和紙
諏訪直樹 1954-1990 The Alpha and the Omega M-1 1978(昭和53)年 アクリル・綿布
元永定正 1922- 版画集『ほへと』より「ぎざぎざのなかはきいろ」 1986(昭和61)年 リトグラフ・紙
朴栖甫 1931- ECRITURE No.000212 2000年 ミックスドメディア・韓紙
アルバセテ、アルフォンソ 1950- 幻影 1 1990年 油彩・キャンバス
カルマチャリャ、イシュワリ 1955- チンダーマスターカ・ヤントラ 制作年不詳 着色・綿布
  

ギャラリー、ロビー

ギャラリー、ロビー

作者名 生没年 作品名 制作年 材料
浅野弥衛 1914-1996 無題 1987(昭和62)年 油彩・キャンバス
佐藤忠良 1912- 群馬の人 1952(昭和27)年 ブロンズ
堀内正和 1911-2001 うらおもてのない帯 1963(昭和38)年 ブロンズ
飯田善國 1923- Xのコンストラクション 1987(昭和62)年 木・著色麻ロープ
江口週 1932- 漂流と原形 1981(昭和56)年
江口週 1932- ふたたび翔べるか-柱上の鳥 1988(昭和63)年
関敏 1930- 1989(昭和64/平成元)年 黒御影石
新妻實 1930-1998 眼の城 1988(昭和63)年 ポルトガル産黒御影石
元永定正 1922- タピストリー No.9 1977(昭和52)年 毛織物
湯原和夫 1930- 意味の自由区No.2-88 1988(昭和63)年 コールテン鋼.鉄.亜鉛メッキ
ザッキン、オシップ 1890-1967 ヴィーナスの誕生 1930年 ブロンズ
建畠覚造 1919- WAVING FIGURE-75 1988(昭和63)年 合板、木
保田春彦 1930- 幕舎試作・鉄 1991(平成3)年
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