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美術館 > 展覧会のご案内 > 常設展(美術館のコレクション) > 1989 > ゴヤ《戦争の惨禍》 企画展示室第4室1989.9-11

【於:企画展示室第4室】 1989年9月23日(土)~11月5日(日)

『戦争の惨禍』 フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス(1746-1828)

『戦争の惨禍 Los Desastres de la Guerra』は、フランシスコ・デ・ゴヤの4冊の版画集のうち、『気まぐれ Los Caprichos』に続く第2の連作である。この作品は、1808年から14年までの対フランス独立戦争および1811-12年にマドリッドでおこった飢餓での体験に触発されたものとだれ、一般に1810年から20年頃までの間に制作されたと考えられている。その後多数の試し刷りが刷られているが、公刊されたのは、ゴヤの死後、1863年になってからである。公刊されたセットは80点からなるが、そのはかに、この連作に属する3点の銅版画がある。技法は、エッチングを主体に、エングレイヴィング、ドライポイント、アクアティントなどで仕上げられている。

同様の主題を扱った先例に、ジャック・カロ(1592/93-1653)の2集からなる『戦争の惨禍』があり、そこでは、舞台のような空間の内で、人間たちは神の操り人形として眺められていた。対するにゴヤにおいては、視点はより接近して、人間が抱える暗黒は、まぎれもなく人間自身が生み出したものととらえている。レンブラントから取り入れた明暗に侵されて、もはや侵略者と被害者の区別をつけることもできなくなるまでに。

本館所蔵の『戦争の惨禍』は、1984年度に収蔵されたもので、扉、透かし、紙の大きさ、標題の誤字その他から、1863年の初版であると思われる。ただし、収蔵時点での冊子本への綴じは後に継ぎ足された紙でなされており、この点に関してより詳細な調査が必要であろう。1989年度に、保存及び展示上の理由から、綴じ本を解体した。


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