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美術館 > 刊行物 > HILL WIND > Hill Wind (vol.11~24) > 大橋歩展 美術館ニュース Hill Wind 23(2009年10月)

大橋歩展

2009年10月24日(土)~12月6日(日)

「大橋歩」という名前を聞いて思い浮かべるイメージは、世代や性別によって異なることでしょう。甘酸っぱい青春時代の象徴として、肩肘張らないおしゃれのお手本として、さらに丁寧で心地よい暮らしの提案者として、大橋さんが見せる世界は広く、様々な色を見せてくれます。

 

この展覧会では、そんな多面体ともいうべき大橋さんの、四〇年以上にわたる活動のすべてをご紹介していきます。

 

展覧会場に足を踏み入れて最初に目にするのは、大橋さんがまだ美術大学在学中に描いたスケッチです。女性のポーズや服の細部へのこだわりに、後に花開くファッションセンスへの興味が見え隠れします。大学を卒業後は、『平凡パンチ』創刊号の表紙から七年間、三九〇号もの表紙を書き続け、『平凡パンチ』世代と言う言葉さえ生まれるほどの衝撃と影響を与えたことはあまりにも有名です。展覧会では、現在確認できる原画を一堂に集め、原画の色の美しさと、印刷物のデザインの斬新さとの比較を楽しんでいただけます。

 

その後八〇年代は大橋さんにとって「ピンクハウス」の時代です。女性ファッションブランドのポスターや案内状などの原画を一〇年間描き続けました。以前とはがらりとスタイルを変え、「横睨みの表情」に愛らしいワンピースといったギャップが非常に印象深く、ブランドイメージを決定づけたとも言えるでしょう。

 

「ピンクハウス」の仕事以降も、大橋さんは積極的に広告や雑誌の仕事を手がけますが、イラストレーターとしてだけでなく、エッセイストとしての顔が前面に出てきます。現在一〇〇冊を越える著作は、日々の暮らしのささやかな営みに対する大橋さん独自の視点が生き生きと綴られ、多くのファンを得ています。そしてその活動は、二〇〇二年の雑誌『アルネ』の創刊へとつながっていきます。編集・取材・記事・撮影をすべて一人でこなすこの小さな雑誌は、現在二九号を数え、展覧会直後には最終号の発行が控えています。

 

このように、いつも時代の空気を敏感に察知し、それでいて決して流行にのみこまれることなく、自分の感性を大切にし続けた大橋歩さん。展覧会では、大橋さん自身のセレクションによる多彩な作品と同時にこの展覧会のために制作された新作もご覧頂けます。大橋さんをよく知る人にとっても、初めて触れる人にとっても、新鮮な驚きを楽しめるに違いありません。(Iy)

 

大橋歩展(2009年)

※この記事は2009年10月24日発行「Hill Wind 23」に掲載されたものです。
 
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