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美術館 > 刊行物 > その他 > その他(報告書など) > 3-6. コンセプチュアル・アート、ミニマル・アート 20世紀後半のスペイン美術とバレンシアの作家たちをめぐる覚書 石崎勝基


6. コンセプチュアル・アート、ミニマル・アート

1960年代から70年代にかけては、パフォーマンスやコンセプチュアルな傾向が勢いをもった(1)。ここでも批判的なメッセージのしめる役割は小さくなかったようだ。重要な作家としてあげられるのは、ZAJ(1964マドリードで結成)(fig.33)、アルベルト・コラソーン(1942- )、アントニ・ムンタデス(1942- )(2)、ナーチョ・クリアード(1943- )など。写真を用いて、人体の崩・蜻閧ニするビリャルバ(1939- )(3)(fig.34)のような特異な作家もいる。


一方スペインでは、ミニマル・アート的な作風は必ずしも盛んではなかったようだが、ピジュアン(1931- )(4)(fig.35)などがそれに近い。ただ彼の場合、コンセプチュアルな要素も小さくなく、色彩のイリュージョンが完全に放棄されることもなかった。また近年の作品では、マティエールの比重とそこに刻みこまれるイメージの成立への関心が大きくなってきている。


岩手県出身で、1966年からマドリードに居をおいて活動してきたミツオ・ミウラ(1946- )(5)(fig.36)の関心もつねに色彩にあるようで、整理された抽象表現主義風のタブローから、立体、インスタレーション、ミニマル・アート的な作品にいたる仕事を展開している。


また、バレンシアでセンペレやアルファロを継ぐ形式主義的な作風を展開している一人に、1960年代後半から活動を始めたテイシドール(1941- )(6)(fig.37)がいる。基本的にはやはりカラー・フィールド・ペインティングに分類できる彼の作品は、筆触を残しつつ、イメージが現われることのない色の場を揺動させる。とりわけ青を主にした作品では、菊畑茂久馬との比較を促すだろう。


1. cf. Bozal, ibid., p.531-565.

fig.33 ZAJ『W.マルチェッティの資料』1965-66


2. cf. Catalogue of the exposition Muntades, IVAM, 1992.

3. cf. Catalogue of the exposition Darío Villalba 1964/1994, IVAM, 1994. また『第4回富山国際現代美術展』図録、富山県立近代美術館、1990。


fig.34 ビリャルバ『顔』1985


4. cf. Maria Teresa Blanch, Hernández Pijuan, Polígrafa, 1979. Catalogue of the exposition Hernández Pijuan. Espacio de silencio. 1972-1992, Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía, 1993. また、『バルセロナ特別美術展 Part2 - カタロニア現代美術』図録、横浜美術館、1990。


fig.35 ピジュアン『区画 A-B-C-D の風景』1972


5. cf. F.C.Serraller, Escultura española actual : una generación para un fin de siglo, Madrid, 1992, p.51, 78-80. Catalogue of the exposition Mitsuo Miura, KM, 1994. ミウラは名古屋でも個展を開いている;ギャラリー・セラー、1992.4.3-5.6 および第5回名古屋コンテンポラリーアートフェアー、名古屋市民ギャラリー、1992.4.15-4.26。


fig.36 ミウラ・ミツオ『無題』1989


6. cf. Catalogue of the exposition Jordi Teixidor, Sala Parpalló, 1992.

fig.37 テイシドール『最大の祭壇 II』1990

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