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美術館 > 刊行物 > 友の会だより > 1992 > ミニ用語解説:小下絵・大下絵と本画 森本孝 友の会だよりno.29, 1992.3.17

ミニ用語解説:小下絵・大下絵と本画

画家は構想が湧いてきたとき、スケッチ・ブックや小さな紙に何をどのように配するかをまず描く。これが小下絵である。この小下絵と平行して画面を構成する花鳥、風物、そして人物などをスケッチする。大略の構図や色彩など、画面構成を練るのがこの段階である。下準備のようであるが、小下絵が一段落するということは作品のほぼ全容が決まったようなことになる。

小下絵が完成すると、それに基づいて完成作品と同じ寸法に拡大した大下絵を描く。この大下絵の段階でも、画家は満足するまで構想を練り上げる。上村松園の「花がたみ」のように、部分的に紙を張ってその上に描き直したり、安田靫彦「赤星母堂像」のように本下絵を何枚も描いたり、1枚の本画制作のために画家は自己の可能な限り腐心する。そして出来上がった本下絵を写し取り、美しい世界に昇華させて本画が完成する。

本画を完成させる過程は、それぞれの日本画家によって異なり、時代によっても異なれば、一人の作家でも初期と晩年では違う。

スケッチ、小下絵・大下絵、本画を一堂に並べることによって、画家の制作過程は明確になる。

(森本孝・普及課長)

友の会だよりno.29, 1992.3.17

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