特集 ミニ用語解説:彫刻
私達が日常使っている「彫刻」という言葉は、普通、塑造と彫刻という二つの意味をもっている。両者を統合した言葉として、彫塑という用語もあるが、一般にはやや馴染が薄い。
彫刻と塑造は、三次元的な立体造形作品という点では同じであるが、制作過程、完成作品の効果という点では、大きな相違がある。
塑造とは、粘土のように柔らかい材料を盛り上げ、手指やヘラなどで成形して形を作りあげていく技法で、粘土のまま仕上げを施す場合(塑像)もあるが、作品に永続性を与えるために、成形後、ブロンズなどで鋳造することが多い。
一方、彫刻は、木や右など、一定の大きさを持った堅い材料を、ノミなどで彫り刻んで形を作り出す技法である。塑造と異なって、材料の大きさや形状による制約を受ける場合も少なくなく、また材料の硬軟の程度が、作品の仕上り状態に影響を及ぼすこともある。
また、この2つの技法は対立するものではなく、我国の平安時代初期の木彫像のように、木の彫刻に乾漆という塑造技術を併用した作品(亀山市、慈恩寺の阿弥陀如来立像は、その好作例)の存在も知られている。
(毛利 伊知郎 学芸員)
友の会だよりno.11(1986.3.20)
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