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美術館 > 刊行物 > 友の会だより > 1985 > ミニ用語解説:屏風 毛利伊知郎 友の会だよりno.9(1985.7.2)

ミニ用語解説:屏風

屏風は、本来、人目や風を屏くための衝立に似た、調度である。その歴史は古く、中国では前漢にまで、また我国でも奈良時代にまで溯る。屏風の表面には、様々な絵画が描かれて、それらは屏風絵と称され、現代に至るまで数多くの傑作が生まれた。

最も一般的な屏風の形式は六曲屏風で、古い形態の屏風絵では、各扇がそれぞれ縁どりを施されていた。現在私達が多く見るような、紙製の蝶番で前後に自由に開閉する構造や、六曲屏風二隻を一組とする一雙〈双〉形式が現われ、6扇全体が一画面として縁どられるようになったのは室町時代以後のことと考えられている。

室町から桃山・江戸時代、さらには近・現代に至るまで、屏風絵は画家に横長の大画面を提供し、画家が主題や画面構成に様々な創意工夫を凝らすことの出来る画面形式として、絵巻と並んで、日本の絵画の中で主要な地位を占めた。

当館にも、曾我蕭白「林和靖図」、竹内栖鳳「虎・獅子図」など、屏風ならではの特性を活かした作品が収蔵されているが、現代では、屏風は博物館や美術館で鑑賞するものという感覚が強く、日常の調度品という屏風本来の観念は殆んど失われてしまったようである。

(毛利 伊知郎 学芸員)

友の会だよりno.9(1985.7.2)

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