液晶絵画 Still/Motion
『液晶絵画 Still/Motion』展はもうご覧になったでしょうか。14名の作家による作品はヴァラエティーに富んでいますが、いくつかの接線を見出すこともできます。絵画との関係という本展のテーマはもとよりとして、その中でも森村泰昌とイーノの《ミステイクン・メモリーズ・オヴ・ミディーヴァル・マンハッタン》がフェルメールでつながるといった意外な接点もありました。ウッドの《ピエタ》とサスマンは双方活人画とも見なせますし、レイマンの《Yo Lo Vi》と鷹野はともに監視カメラで観客をとりこみます。ヴィオラが水ならバウカの《BlueGasEyes》は火、ヤン・フードンは土、小島は風となるでしょうか。鷹野とチウ・アンションはいずれも、ぱらぱらアニメの手法を用いています。しかし多くの作品で通奏低音となっているのは、時間の流れ方という問題に対するさまざまなアプローチでしょう。ともあれ見る方それぞれが、それぞれの見方で引っかかる点を見つけていただければと思います。
石崎勝基(三重県立美術館学芸員)
友の会だより77 2008.3