このページではjavascriptを使用しています。JavaScriptが無効なため一部の機能が動作しません。
動作させるためにはJavaScriptを有効にしてください。またはブラウザの機能をご利用ください。

サイト内検索

美術館 > 展覧会のご案内 > 常設展(美術館のコレクション) > 2020 > 美術館のコレクション2020年度第3期第1室解説(短)

美術館のコレクション(2020年度常設展示第3期第1室)短い解説文

2020年9月24日(木)-12月27日(日)
このページには常設展示室第1室「コレクション名品選」の出品作品解説(展示室にも掲出している短い解説文)を掲載しています。
長い解説文はこちら
 
作者不詳《聖ロクス
聖ロクスはキリスト教の聖人。ペスト(黒死病)から人々を守ろうと手を尽くすうちに、ロクス自身もペストに感染してしまいます。森でたおれていたところ、パンをくわえた犬が現れ彼を助けました。右足のきずは、彼がペストに感染したことを示します。ロクスはペストの守護聖人として、感染症が流行した時に広く信仰を集めました。
 
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ《アレクサンドリアの聖カタリナ
両手を広げてひざまずいているのは、キリスト教の聖女であるカタリナ。エジプトのアレクサンドリアに生まれたカタリナは、車輪を使った刑を言いわたされますが、彼女がさわると車輪がこわれたと言われています。その後カタリナは剣で処刑されました。エピソードに登場する剣やこわれた車輪は、絵の中に描かれています。
 
オディロン・ルドン《アレゴリー――太陽によって赤く染められたのではない赤い木
赤く染められた木の幹がひときわ鮮やかに輝いています。左には布をかぶった女性が、右には腰に布をまとい、貝殻のようなもののなかに立つ男性が描かれています。
いったいどのような物語を描いた絵なのかはっきりしておらず、不思議なタイトルもあいまってなぞは深まるばかりです。
  
オーギュスト・ルノワール《青い服を着た若い女
正面向きの若い女性を描いた作品。少しちぢれた黒髪の女性は紺色の服を着て、真っ白なえりの周りに黒いリボンを結んでいます。なめらかな色白の肌からは青色が透けて見えますが、頬には赤みがさし、黒い瞳はぬれてきらきらと光っています。派手さが抑えられていて、モデルの品のある清らかな印象が際立つ作品です。

クロード・モネ《橋から見たアルジャントゥイユの泊地
セーヌ川沿いの村アルジャントゥイユ(フランス)の船着き場の夕ぐれを描いた風景。あらいタッチで描かれた金色の夕日が水面にきらきらと反射しています。右下に見えるのはボート貸し小屋。画面中央より少し下に描かれた屋根付きボートは、モネ自身が水上での制作のために使用していた特別な船「アトリエ船」です。
 
マルク・シャガール《
透明度の高い青色を背景に、女性と男性がななめに浮かんでいます。二人の上に生い茂るのは、花咲く枝。色合いや濃淡の多様な青を用いた背景には、画家シャガールの生まれ故郷ロシアを連想させる家畜や、活動拠点としたパリの街なみ(エッフェル塔など)、宙を舞う人、花束が非現実的な配置で描かれています。
 
鹿子木孟郎《狐のショールをまとえる婦人
作者がフランス留学中に描いた作品。帽子をかぶり、ななめ横を向いた女性の上半身が描かれています。キツネ1匹の毛皮をぜいたくに使った、ふさふさとした毛並みのショール(肩かけ)と、光る金銀のチェーンやベルト、胸元のピンクのコサージュ(花飾り)の素材のちがいが、確かな筆さばきによって巧みに描き分けられています。
 
中村不折《裸婦立像
作者がフランス留学中に、おそらく画塾で他の塾生たちとともに人体研究のために描いた作品。モデルの身体が、画面を上から下までむだなく使って描かれています。コンクールに出すような作品ではなく練習に近い作品ですが、右ひざを曲げ、うつむいた顔にそっと左手を添えるモデルのポーズが作品に優美さを与えています。

佐伯祐三《サンタンヌ教会
ゆがんだ通りの左右に白い壁の建物が立ち並び、通りの奥には教会のドーム(円屋根)が大きく描かれています。画面の右上には煙突の連なる屋根が描かれ、煙突から煙がたなびいています。寒そうなモノトーンの風景のなかで、わずかな面積のレンガ色が目を引きます。パリの街なみを繰り返し描いた佐伯祐三の、亡くなる少し前の作品です。

古賀春江《煙火
「煙火」は「はなび」と読み、花火のことを指します。夜の空に、波しぶきのような花火が打ち上げられています。やみのなかからはヨットやイルミネーションの施された船がぼんやりと浮かび上がり、画面の下の明るい空間には赤提灯や洋風の飾り窓が見えます。船や建物が不思議な配置で描かれた、まるで夢のなかのような光景です。
 
藤島武二《大王岬に打ち寄せる怒濤
藤島武二は理想にかなった日の出の風景を描くため、10年にわたって取材旅行をつづけました。三重県志摩市の大王崎を描いたこの作品も、その途中で制作されたものです。ぎざぎざした岸壁が左右に切り立ち、激しい波が砕け散っています。画面がでこぼこしていることから、画家が強い力で絵具を何度も塗り重ねたことが分かります。 

海老原喜之助《森と群鳥
冬の日ざしを浴びて雪山が輝き、晴れわたった空に黒い鳥が飛び交っています。木々の1本1本は青色や水色で細かく描かれており、青い影が地面に長く伸びています。雪山にはスキーを楽しむ人々の姿も見えます。
海老原喜之助は、青と白から成る独特の色の作品によってフランスで人気を集めた画家です。

吉原治良《雪(イ)》
画面の上の方には黒い五角形、右下には茶色い五角形が配置され、左下には黒い線が引かれています。白い面は、暗い色が透けて見える部分や、つるつるした部分、ざらざらした部分に分かれています。じっと見ていると作品のなかに雪山が見えてきませんか。タイトルには、いろは順の最初の文字「イ」が番号のように振られています。
 
山口長男《
青やオレンジ、緑などのさまざまな色の線や面が、白い画面に踊っています。線は曲がっていたり、枝分かれしていたりします。作者はこの作品を描いた頃、「池」や「庭」という題のにぎやかな絵を何点も描いていました。「色々の絵具を白の上に、ただ対象から得た色感として積極的にくっつける」と画家は言っています。
 
中谷泰《烏賊のある静物
「静物」とは静止して動かないもののこと。例えば花や果物、食品、食器、楽器などを指します。
鮮やかなオレンジの布が掛けられたテーブルの上には、烏賊や魚、レモンを入れた水の入ったグラス、青緑色のポット、折りたたまれた紙が置かれます。作者はこれらの静物の配置を自由に変えて何度も作品を描いています。

金山康喜《静物
ゆがんだテーブルの上に、空っぽのガラスびん、火の消えたろうそくとそのスタンド、液体の入ったボトル、ふたの開いた缶が並んでいます。左右で色の調子が異なる背景には、小さな椅子がリズミカルに置かれています。
画面全体が透明感あふれる青色に包まれ、静物は細くふるえる線で描かれています。
 
荻須高徳《青い日よけ(カフェ ル・ラリー)》
パリの街角を繰り返し描いた荻須高徳の作品。鮮やかな青い日よけ(テント、布製の屋根)を付けた店はパリのカフェ ル・ラリー。通りに面した大きなガラス窓から、店内の様子も見ることができます。
この作品は昨年度当館に寄贈され、所蔵品となってから初めて公開されます。
 
浅野弥衛《作品
黒く短い線が、一見規則的に、よく見るとゆがみやムラを伴って連なっています。この作品は、刻みを付けた白地に黒い絵具を塗り込み、表面の絵具をふき取るという方法で制作されています。鈴鹿で活動した作者の浅野弥衛は、このシリーズを農夫が畑を耕すことになぞらえ、「たがやし」と呼んでいました。
 
元永定正《せんせん
伊賀出身の元永定正は、アメリカで制作を始めてから、スプレーで絵具をふきつけるエアブラシを制作に使うようになります。輪郭が少しぼやけているのがエアブラシの線です。タイトルのとおり、この作品にはさまざまな「せん」が引かれています。アルファベットのQやオウムガイのようなかたちは、元永の作品によく登場するかたちです。

       
最終更新:2020年10月4日
ページID:000242823