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美術館 > 刊行物 > HILL WIND > Hill Wind (vol.25~34) > ユーモアのすすめ 福田繁雄大回顧展 HILL WIND 28 2011.7

HILL WIND 28, 2011.7

 

ユーモアのすすめ 福田繁雄大回顧展

2011年7月9日(土)~9月4日(日)

 

 1986年末の時点で永井一正は、「日本の現役で活躍しているデザイナーは4世代に分けられる。第一の世代は亀倉雄策、早川良雄など、第二は田中一光・福田繁雄など、第三は石岡暎子・浅葉克己など、第四が戸田正寿や先に述べたサイトウ・マコトなどであろう。/第一、第二の世代は、作品に揺るぎのない造形性や、完成度の高さが見られ、作家性が強く打ち出されている。第三世代になるとその活躍の場がグラフィックデザインというよりも、広告のアートディレクションにおいて主に写真を媒介にしながら時代性を切りとっていく。第四の世代になると、少しまた様相が変わってきたという気がする」と記しました(「日本の若手デザイナーたち」、『アイデア』、no.200、1987年1月号、p.152。なお「『グラフィックデザイン』の黄昏」、『アイデア』、no.300、2003年9月号、pp.18-19で室賀清徳は、永井の一節を承ける形で、その後の展開について論じています)。 

 ちなみに、亀倉雄策(1915-97)・早川良雄(1917-2009)らの世代に対し、福田繁雄は杉浦康平と同じ1932年生まれで、永井一正(1929- )や田中一光(1930-2002)の少し年下、横尾忠則(1936- )より少し年上となります。これに前史として、浮世絵を引き継いだ明治のポスター、岡田三郎助(1869-1939)原画(1907)による三越のポスター(1909;次回『藤島武二・岡田三郎助展』に出品予定)、明治末から大正期にかけての杉浦非水(1876-1965)・橋口五葉(1880-1921)らの登場、その間アール・ヌーヴォー、アール・デコ、あるいはバウハウスなどのモダン・デザインの流入を迎えつつ、さらに山名文夫(1897-1980)・河野鷹思(1906-99)など、戦前に活動を始めた作家たちの名前を並べてみれば、はなはだ大まかというほかありませんが、日本近現代のグラフィック・デザイン史に福田を位置づけるための手がかりとなりはしないでしょうか。

 さて、そうした中で福田のデザインは、遊戯性と視覚トリックへの関心を大きな軸としています。むしろ、遊戯性・トリックと「揺るぎのない造形性」との一体化こそがその特質といえるでしょう。この点については、展覧会の現場でぜひ検討してみてください。(石崎勝基) 

 

福田繁雄《SHIGEO FUKUDA展》1975   福田繁雄《バードーツリー》1965

福田繁雄

《SHIGEO FUKUDA展》

1975年 

シルクスクリーン 

103×72.8cm 

DNP文化振興財団所蔵

© Shigeo Fukuda 

© Photo DNP Foundation for Cultural Promotion

(cat.no.79)

 

福田繁雄

《バード・ツリー》 

1965年 

木工 

28×22×10cm 

二戸市シビックセンター福田繁雄デザイン館蔵

© Shigeo Fukuda

Photo courtesy of Shizuko Fukuda

(cat.no.211)

 

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