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美術館 > 刊行物 > 所蔵品目録 > 原田直次郎《老人像》 三重県立美術館所蔵作品選集

作者名50音順一覧

原田直次郎《老人像》

〔5〕
原田直次郎(1863-1899)
《老人像》
1886 (明治19) 年頃
油彩・キャンバス
57.6×42.6cm

HARADA Naojiro (1863-1899)
Old Man
c.1886
Oil on canvas

白いひげを豊かに蓄えた老人が、胸に手をやり上方を見つめている。まるで聖書の一場面のようなこの作品、作者がいったい誰なのかを知らされていなければ、日本人画家の筆と思う人は少ないだろう。近づいてみると、わずかな色数の絵具だけを用いて心憎いほどに豊かな色彩が生みだされていることに驚かされるが、一方で、左手親指のつけ根の位置・竝カひじの位置関係に苦心の跡がうかがえる。だが、そんなかたちの不安定さを覆させるほど、油絵具の使い方は的確で、完成度の高い画面に仕上がっている。

作者の原田直次郎は12歳のころより洋画の手ほどきを受け、22歳のときに自費でミュンヘンアカデミーおよびパリ美術大学に留学、帰国後は東京府認可の画塾を設立、和田英作(1874-1959)や三宅克己(1874-1954)らその後の世代の洋画家たちを育てた。一方、ミュンヘンで出会った森鴎外(1862-1922)との親交から雑誌『国民之友』や『めさまし草』などの装幀を手がけるなど幅広い活動を行った。留学中の作品であり、36歳で夭逝したこの画家の数少ない完成作のひとつである。

(田中善明)



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