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美術館 > こども美術館 > 美術鑑賞教育支援教材 > アート・ゲームの紹介 〈アートカードみえ〉を楽しもう!

アート・ゲーム(スタンダードセットを使って)

アート・ゲームとは、アメリカで生まれた、ゲーム方法を取り入れた美術教育の学習活動や教材のことです。遊び的な活動を通して美術作品に親しむとともに、作品をていねいにみていく力や、自分なりの感じ方や解釈をする力、それを言葉で表現し、他の人に伝える力を培うことを目標としています。

Ⅰ さがす ・ 見つける ゲーム

■ゲームの概略  □ねらい

1 アートかるた①  VTR/DVD [読み札にあてはまる作品を探す]

■読み札の言葉にあてはまると思われる作品をさがし出す、かるたゲームです。
□言葉のもつイメージを意識して、作品を見る姿勢を身につける。


【方法】

①アートカードを表向けて全部並べる。(学年や時間によって枚数を制限して使用してもよい。)

②読み札の言葉にあてはまるアートカードを探して取る。

※印象の似たアートカードもあるので、確認しながら進める


2 キーワード・ゲーム  [キーワードに合った作品を選ぶ]

■あらかじめ用意した「キーワード」にあてはまると思われる作品を選ぶゲームです。
選んだ理由を言葉にして伝える活動と組み合わせることもできます。
□言葉のもつイメージを意識して、作品を見る姿勢を身につける。


【方法】

①アートカードを表向けて全部並べる。

②リーダーは形容詞なら「あつい」「こわい」「たのしい」、名詞なら「春」「生命」「音楽」・・といった言葉を書いた模造紙を幾つか用意する。年齢に応じたわかりやすい言葉を選ぶこと。固有名詞も可。

③プレイヤーはそれらの言葉にあてはまると思われるアートカードを選ぶ。
付せんに理由を書く。

④付せんをつけたアートカードをそれぞれの模造紙に貼る。(制限時間を決めておく。)

⑤みんなで交流し合う。


3 マッチング・ゲーム   VTR/DVD [2つの作品の共通点を探す]

■2枚のアートカードの共通点を見つけ出し、それを言葉で説明するゲームです。
□作品を多様な視点(主題・材料・色・形・線・雰囲気等)から見る習慣や観察力を養う。
□自分が感じたことを言葉で表現する。
□他の人の見方や感じ方についても知り、理解を深め合う。
※以上のような『ねらい』は、他のゲームについてもほぼ同様に言えます。


【方法】
①アートカード1枚を表向けて場に置き、残り全部を裏向けて積んでおく。

②プレイヤーは、積んだアートカードから1枚をめくる。2枚に共通することがらをあげ、他の人が納得すれば、どちらか1枚をポイントとして獲得できる。共通点をあげられないときは、カードを獲得できず、次の人に解答権が移る。

③場のカードが無くなったら終了。獲得枚数の多い人が勝ち。

※共通点の見つけ方について、あらかじめ全体で練習しておくとよい。

※「一度使われた共通点は使えない」など、学年に応じたルールを導入してもよい。


4 つなげてつなげて   VTR/DVD [2つの作品の共通点を探す]

■マッチング・ゲームの変形バージョンです。2枚のアートカードの共通点を見つけて、次々と隣に並べていくゲームです。


【方法】
①リーダーは、アートカード1枚を表向けて場に置き、残り全部を配る。

②プレイヤーは、場のアートカードと共通点をもつカードを手持ちカードの中から選び、その左右のどちらかの横に並べていく。その時に、共通点と思うところを他の人に伝え、同意を得られれば置くことができる。全く得られなければ、置くことができない。

③手持ちカードが早く無くなった人が勝ち。

※共通点になるかどうかの判断が難しい時もあるので、1~2人以上納得する人があればOKなど、あらかじめルールを決めておくこと。ただし、大切なのは勝敗よりも、互いに考えを伝え合う姿勢である。

※最初におくアートカードの数を増やしたり、並べる方向を増やすなど様々な方法が考えられる。


5 ある・ないクイズ  VTR/DVD [集められた作品群の共通点をあてる]

■共通点を探すゲームの応用編です。数枚の作品群から、既に決められている共通点をあてる、推理力を要するゲームです。


【方法】
①リーダーは、一つの共通点をもつ数枚のアートカードA群と、その共通点をもたない数枚のアートカードB群を選んでおき、2列に対比させて順番に並べていく。

②プレイヤーは、A群とB群を見比べ、A群に共通することがらをあてる。

③プレイヤーは、共通点を考えついた時点で答えてよい。少ない枚数で共通点をあてたら高得点となる。

※ 例題

キーワード   1番目 2番目 3番目 4番目 5番目 6番目 7番目 8番目 9番目 10番目
緑色 ある 31 38 32 2 53 48 37 27 41 11
ない 28 29 22 19 5 50 17 7 34 20
人が二人以上いる ある 31 37 19 61 9 44 39 12 4 62
ない 28 17 15 59 13 42 18 43 11 30
すわっている ある 46 28 64 4 3 38 62 1 52 49
ない 53 31 35 54 2 15 30 42 50 51
ある 18 10 35 17 38 37 39 - - -
ない 15 27 12 9 62 7 23 - - -

6 ながれ星   VTR/DVD [作品の一部を見て作品をあてる]

■提示されたアートカードのごく一部分だけを見て、どの作品かをあてるゲームです。
□作品の色・形・質感など、細部までしっかりと観察する力を身につける。


【方法】
①アートカードを2組準備し、1組は全部表向けてランダムに並べ、もう1組はリーダーが持つ。

②リーダーは提示する作品を密かに選び、穴のあいた厚紙で覆った状態でプレイヤーに見せる

③どの作品かわかったプレイヤーから答えてよい。
 お手つきした場合は、全員が1回ずつ答えるまでは、答えることができない。
カードを多く取ることができた順に勝ちとする。

※見せる部分は必ず「作品部分」とする。(彫刻の台座や背景部分は除外すること。)

※正解が出にくい場合は、穴の位置をずらしたり大きくするなど、わかりやすくしていく。
 また、学年に応じて、穴の大きさや形を工夫するとよい。


7 絵伝言ゲーム   VTR/DVD    [伝達スケッチから、作品をあてる]

■提示された作品の形や構図を短時間で記憶し、短時間でスケッチして、次の人に絵で伝える。最終的に伝えられたスケッチを見て、解答者が元の作品をあてるゲーム。
□作品全体の構造・形・特徴などを、短時間でとらえる力を身につける。


【方法】
①リーダー1名、時計係1名。プレイヤーの中では伝達者数名、解答者1名を決める。
 伝達者は伝達する順番に座り、それぞれの前に紙と鉛筆を用意しておく。
 解答者は最後に座る。
 アートカード2組の内、1組は全部表向けてランダムに並べ、もう1組はリーダーが持つ。
 ゲームは最後の解答時まで、すべて無言で行う。

②リーダーは1人目の伝達者にだけ見えるように、選んだアートカードを提示する。
 伝達者は、10秒間だけ見ることができる。(秒数は、必要に応じて変えてよい。)

③伝達者は、記憶をもとに、用意しておいた紙に10秒以内にスケッチする。(文字は書かない)

④同様にして、次々に伝えていく。
 伝達者も解答者もすぐ前の人のスケッチしか見ることはできない。

⑤最後のスケッチを見て、解答者がもとの作品をあてる。

⑥解答者が正解できないときには、前の伝達者に解答権が移っていく。同時に、得点も1点ずつ減っていく。(チームの人数に合わせて、最初の得点を決めておく。)

※小学校高学年から中学校が望ましい。

※班対抗で行う場合は、一つの作品につき、リーダーと代表選手を1名ずつ出す。
 リーダーは相手チ-ムに出題し、味方チームには答えを見せてよい。


Ⅱ つくる・表現するゲーム

8 アートかるた②     [作品に合ったことばをつくる]

■作品の特徴や印象を簡単な言葉や文にして「読み札」をつくる。
□下記のようなことがらを意識して、作品を見る姿勢を身につける。

  • 作品の色や形の特徴は何か
  • 自分が感じたこと、印象に残ったことは何か
  • 作者の表現したかったことはどんなことか

【読み札のつくりかた】
※読んで(聞いて)、その作品がわかるような言葉や文を作る。

・作品の色や形の特徴から       ・自分の感じたこと・印象を意識してみる

・作中の人や物のせりふを想像して ・作者の表現したかったことを想像して など

※七五調でなくてもよいが、ある程度そろえると統一感がでる。

※あらかじめ、同じアートカードをもとに読み札作りの練習をしておくとよい。


9 お話作りゲーム   VTR/DVD      [作品をつないで物語をつくる]

■3枚のカードを使って自由にお話をつくるゲームです。(4枚で四コマまんがにしてもよい)
□想像力と表現力を育てる。


【方法】
①アートカードを表向けて場に並べ、各自が順に1枚ずつ取り、3枚までを選ぶ。
 (アートカードを裏向けて積み、各自が順に1枚ずつ3枚まで取ってもよい。)

②その3枚を使って、自由に思いつきの「お話」をつくる。
・考える時間を少し設ける。・ 起承転結が無くてもよい・低学年なら2枚で実施してもよい

③お話を発表し合って、みんなで楽しむ。発表し終わったら、拍手をする。


10 あなたに贈るこの一作  VTR/DVD      [作品を選び、思いを綴る]

■他の人や自分に贈るとしたらどの作品がよいか、それはなぜかを考えます。
□作品に対する自分の好みを意識化する。
□自他の違いを確認し、それぞれを尊重する精神を養う。


【家族にプレゼント】 
①家族(の中の誰か)にプレゼントするとしたら、どの作品かを考えて1点選ぶ。

②その理由などを含めた文を短い手紙形式で書く。

③手紙の横に該当作品の模写したもの等を貼る。

※家族以外に、友だち、先生、歴史上の人や実在する(した)有名人等も可。

【私へのプレゼント】 
※単純に「私の好きな作品」として考えてもよいし、「今の私に必要な作品」、「身近に置きたい作品」 とするなど、別の切り口にすることも考えられる。


11 わたしのミニ美術館   VTR/DVD       [作品を集め展覧会をつくる]

■表現したいテーマを決め、それに添った作品を選んで展覧会を組みたてます。
□作品の個々の特徴をとらえ、まとめる力を養う。
□自分の個性を大切にし、作品を通して感じたことや考えたことを言葉で表現する力を養う。


【方法】
①どんなテーマの展覧会にしたいか決め、テーマに添った作品を3点程度選ぶ。
 テーマ例:人物・静物・風景画・動物の出てくる絵・不思議な感覚の絵 他

②展覧会名や各作品につける短いコメントも考える。
 展覧会名例:「冬を描く」「饒舌なモノたちー静物画展」「絵画の中の不思議世界」

③画用紙にアートカードを貼り、展覧会名と各作品の説明・コメントを書く。
 (アートカードを縮小コピーして貼りつけたりしてもよい。)

④③を掲示し、鑑賞し合う。

※使いたいアートカードがかち合った場合はどうするか、決めておく。


12 ジェスチャーゲーム(複数)  VTR/DVD    [作品の形や構図を模して身体で表現する]

■描かれたり造られたりしている対象の形や動き、あるいは構図全体の特徴をとらえ、
それを人の身体の動きや配置などで表現するゲームです。
□形・動き・構図などの特徴をとらえる力を養う。
□体感することで、作品のもつ面白さを味わう。


【方法】
①アートカード2組が必要。1組は全部表向けて並べ、他の1組は裏向けて積む。
 プレイヤーは2~3人のチームに分かれる。

②演じるチームは、他のチームに見られないようにしてアートカードをめくり、協力して作品の動きなどを表現する。

③他のチームがそれを見て、どの作品かを当てる。
演じたチームと正解したチームが得点できる。

※複数で行う場合、表現の幅が広がり、照れずに演じやすいという長所がある。1人でも可。


その他のゲーム

■上記のアート・ゲームの変形バージョンや全く新しいゲームなども数多く考えられると思います。先生方や子どもたちから生まれた面白い案・ユニークな案を是非教えてください。



この「アート・ゲーム」をまとめるにあたり、滋賀県立近代美術館編集の「アート・ゲーム紹介」と名古屋市立美術館編集の「アート・ゲームの手引き」も参考にさせていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

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