あいさつ
このたび南アメリカの美術館のなかで最も有名な,ブラジル,サンパウロ・アシス・シャトーブリアン美術館のコレクションを中心に「サンパウロ美術館展」を開催する運びとなりました。1947年,「ラテン・アメリカの新聞王」と呼ばれた故アシス・シャトーブリアンによって創設された同美術館のコレクションは,ヨーロッパ中世後期の宗教画から現代絵画にいたる諸傑作や,ドガの彫刻作品をはじめとする充実した内容で世界の美術愛好家の垂涎の的となっております。
今回,サンパウロ・アシス・シャトーブリアン美術館の1000点を越えるコレクションのなかでも圧巻ともいうべき名作60点が選はれ,三重県立美術館の開館記念展として展観されることとなりましたことは,わたしたちにとって望外の喜びです。出品されます点数はけっして多くありませんがヨーロッパ絵画の流れは十分理解することができますし,またブラジル現代絵画を併せ展覧することで日・伯両国間の友交と相互理解が一層深まるものと確信いたします。
この展覧会の実施にさいして終始協力を惜しまれなかったサンパウロ・アシス・シャトーブリアン美術館のピエトロ・マリア・バルディ館長はじめ,日・伯の関係者各位に厚くお礼を申し上げるとともに,本展がわが県民に理解と共感をもって迎えられることを期待します。
三重県立美術館長 陰里鉄郎