あいさつ
このたび,日本版画界の巨匠斎藤清さんの画業50年を記念する展覧会を開催いたします。
斎藤さんは,戦後日本人として初めてサソパウロ・ビエソナーレ展に受賞して以来,内外の高い評価を得ております。ゆるぎない自然観照に裏付けられた“独歩"の姿勢が,直截な面と色感となって現われ,誰にも共感を呼ぶ“日本のこころ"そのものの芸術様式となっております。
76歳を数えたいまなお,全国各地を旅し,故郷・会津の雪をはじめとし野仏や四季の自然を版に刻み,水墨で描く旺盛な制作活動を続けています。
本展は,初期から近作に至る木版,コラグラフ,ドライポイント,墨絵,油彩など多彩な軌跡をたどる245点を展観いたします。
本展開催に,快くご尽力くださった福島県教育委員会はじめ関係各位に感謝の意を捧げます。
昭和59年1月
三重県立美術館
毎日新聞社