はじめに
佐伯祐三の独自性は、どこから生れたのでしょうか。
大阪の古刹光徳寺の次男として生れ、何不自由なく育ったことによる天真爛漫な気質、そして美術学校に入学後次々と訪れた身内の不幸による「死」の自覚。明と暗が同居した佐伯の生涯が彼の表現に深くかかわっていたことはいうまでもありませんが、この特集展示では、佐伯の独自性が同時代の画家たちからどのような影響を受けて形成されたのか、それに対して佐伯の表現が彼らに何を与えたのかを、交流のあった画家たちの作品から感じていただく企画しました。同時開催中の「没後80年 佐伯祐三展」(8月17日まで)とあわせてご覧いただければ幸いです。
最後になりましたが、本展覧会のためにご出品いただきました方々をはじめ、ご協力いただきました関係各位に深く感謝いたします。
2008(平成20)年
三重県立美術館