ごあいさつ
このたび、ロシア連邦国立エルミタージュ美術館の多大なる御協力により、「ロシア宮廷美術展」を開催することになりました。
エルミタージュ美術館はサンクト・ペテルブルグ市、ネヴァ河のほとりに建つ5つの建物で構成されています。この建物は当時の最新の建築技術を採り入れ、粋をこらして建築され、それ自体が建築史を彩る美術品であります。美術品が美術品を保存しているという世界で類を見ない大規模な美術館です。しかも、芸術作品のみならず、考古学的な資料、民族的な分野にまでコレクションの幅を広げ、博物館としての性格をも、もちあわせています。現在はおよそ270万点の美術品を所蔵しており、世界屈指の大美術館として知られています。
エカテリーナ2世によって始められたといわれる、エルミタージュのコレクションは、これまで我が国に収蔵品の一部が公開されてきましたが、本展はエルミタージュ美術館としては初めて、西洋美術部、ロシア文化史部からの合同出展となり、規模の大きさと、内容の充実を実現することが出来ました。ロマノフ王朝の最盛期、ロシア文化史上最も美の世界を創り出した時代の工芸品、調度品、絵画など、華麗な宮廷生活を彷彿させる貴重な美術品の集大成となっております。また今回の美術展を機に日本とロシアの文化交流と相互理解が一層深まることを期待します。
本展の開催にあたり、エルミタージュ美術館、スースロフ館長をはじめ、関係各機関、各位に厚く御礼申し上げます。
1992年
主催者