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美術館 > 刊行物 > 展覧会図録 > 1987 > あいさつ 第2回具象絵画ビエンナーレ図録

あいさつ

わが国の近代美術は、ヨーロッパ19世紀美術の圧倒的な影響の下に、それまでの伝統をほとんど省みる余裕のない状態から再出発しました。そしてこのおよそ一世紀のあいだ、世界、とりわけヨーロッパ美術の前衛運動と軌を一にして、自然の対象描写から抽象表現へとすすみ、さらに20世紀後半にはいると一層大胆なコンセプチエアル・アートやミニマル・アートにはじまった、「近代」そのものの意味の再考をうながすポスト・モデニズムの思想による作品制作へと、急激な変化を示してきました。

このような20世紀美術の想像を超えた展開を導いてきた力は、具象絵画の分野にあっても、その具象性と絵画の概念を解体する傾向をとりつづけているようです。

一方、それにともなう表現の多様性によって、造形芸術のもつ自発的な原初性とでもいうべき性格が失われつつある現在、絵画芸術の原点であるイメージの表現としての具象絵画に、新たな関心が生まれ始めているのも事実です。世界にたいして開かれた古くて新しいテーマがそこにあるからです。

現在の混乱を打破して具象絵画の豊かな領域を開拓するため、美術館と実作者との連帯をめざして、わたしたちは1985年に第1回具象絵画ビエンナーレを開催いたしましたが、その成果を踏まえ、さらに作品を精選して、ここに第2回具象絵画ビエンナーレを開催する次第であります。

主催者

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