常設展示1987年度【第4期展示】 1987年12月22日(火)~1988年3月27日(日)
第1室 戦後日本の洋画と三重の画家たち
敗戦は、日本の洋画界にも大きな影響を与え、鶴岡政男・金山康喜らのように、作品上に戦争の後遺症を色濃く反映させている画家もいるが、戦後間もなく、新たに行動美術協会が結成されたのを初めとして、戦時中活動を停止していた各美術団体も活動を始め、様々な傾向の作品が発表されて、洋画界は、戦前にもまして活況を呈するようになっていった。
戦後の洋画界の冒頭を飾ったのは、戦前すでに自らの芸術様式を確立していた、坂本繁二郎や岡鹿之助らのヴェテランであった。彼らより若い世代では、麻生三郎、森芳雄、らの名前を忘れることはできないし、抽象系では、戦前すでに画家としてのスタートを切っていた村井正誠、難波田龍起、杉全直らが次第に自己の表現を確たるものとしていった。また、昭和30年代にはいると、アンフォルメル運動が盛んになったが、三重県出身の元永定正は、そうした革新的抽象表現を代表する画家の一人である。
| 作家名 | 生没年 | 作品名 | 制作年 | 材質 |
|---|---|---|---|---|
| 金山 康喜 | (1929-1959) | 静物 | 1951頃 | キャンバス・油彩 |
| 田中 阿喜良 | (1918-1982) | 父子 | 1957 | キャンバス・油彩 |
| 岡 鹿之助 | (1898-1978) | 積雪 | 1953 | キャンバス・油彩 ※ |
| 岡 鹿之助 | (1898-1978) | 三色すみれ | 1959 | キャンバス・油彩 ※ |
| 岡 鹿之助 | (1898-1978) | 鉄仙花とカラジューム | 1955 | キャンバス・油彩 ※ |
| 坂本 繁二郎 | (1882-1969) | トマト馬鈴薯など | 1957 | キャンバス・油彩 ※ |
| 坂本 繁二郎 | (1882-1969) | 箱 | 1960 | キャンバス・油彩 |
| 森田 元子 | (1903-1969) | 女 | 1960 | キャンバス・油彩 |
| 森 芳雄 | (1908- ) | 卓上静物 | 1957 | キャンバス・油彩 ※ |
| 森 芳雄 | (1908- ) | 街角(カイロにて) | 1963 | キャンバス・油彩 |
| 原 精一 | (1908-1966) | 女達 | 1963 | キャンバス・油彩 |
| 野口 弥太郎 | (1899-1976) | 長崎の情緒 | 1965 | キャンバス・油彩 |
| 高畠 達四郎 | (1895-1976) | オーヴェル小寺 | 1967 | キャンバス・油彩 |
| 林 武 | (1896-1975) | 裸婦 | 1968 | キャンバス・油彩 |
| 小磯 良平 | (1913- ) | 四つの西洋人形 | 1975 | キャンバス・油彩 |
| 麻生 三郎 | (1913- ) | 男の顔 | 1972 | キャンバス・油彩 |
| 村井 正誠 | (1905- ) | うしろ姿 | 1956 | キャンバス・油彩 |
| 杉全 直 | (1914- ) | コンポジション | 1961 | キャンバス・油彩 |
| 難波田 龍起 | (1905- ) | 創生A | 1961 | キャンバス・油彩 |
| 宇佐美 圭司 | (1940- ) | 銀河鉄道 | 1964 | キャンバス・油彩 |
| 田淵 安一 | (1921- ) | 一は全て、全ては一 | 1965 | キャンバス・油彩・水彩・インク |
| 前田 常作 | (1926- ) | 空間の秘儀(出現 その5) | 1965 | キャンバス・油彩 |
| 鶴岡 政男 | (1907-1979) | 窓 | 1965 | キャンバス・油彩 |
| 鶴岡 政男 | (1907-1979) | しめる | 1967 | キャンバス・油彩 |
| 菅井 汲 | (1919- ) | 森の朝 | 1967 | キャンバス・油彩 |
| 阿部 展也 | (1913-1971) | R-26 | 1970 | キャンバス・アクリル |
| 元永 定正 | (1922- ) | 赤と黄色と | 1966 | キャンバス・混合技法 |
| 元永 定正 | (1922- ) | Nyu Nyu Nyu | 1971 | キャンバス・混合技法 |
| 小野木 学 | (1924-1976) | 風景 | 1975 | キャンバス・油彩 |
| 林 義明 | (1890-1973) | 蓮峰 | 1970 | キャンバス・油彩 |
| 中谷 泰 | (1909- ) | 雪どけ | 1976 | キャンバス・油彩 |
| 足代 義郎 | (1909- ) | 女 | 1968 | キャンバス・油彩 |
| 平井 憲迪 | (1915-1982) | 忘却のきざはし | 1968 | キャンバス・油彩 |
| 浅野 弥衛 | (1914- ) | 作品 | 1975 | キャンバス・油彩 |
| 岩中 徳次郎 | (1897- ) | 集-82 | 1982 | キャンバス・油彩 |
| 土嶋 敏男 | (1942- ) | 人と物(X) | 1985 | キャンバス・油彩 |
第2室 ヨーロッパ近代の美術
フランス19世紀では、新聞・雑誌の発達によって、リトグラフ(石版画)の技法が発達し、銅版画も新たな展開を遂げた。フランス象徴主義の第一人者と言われたルドンは、多くの優れた版画集を発表したが、続く20世紀にはいると、シャガール、ミロ、ルオーらが、油彩画とともに版画の分野でも活躍した。また、オランダ出身の版画家M.C.エッシャーは、位相幾何学的な原理に基づく幻想的な版画によって近年評価が高いが、画巻風の横長の画面を用いたメタモルフォーシスⅡは、彼の代表作の一つである。
| 作家名 | 生没年 | 作品名 | 制作年 | 材質 |
|---|---|---|---|---|
| クロード・モネ | (1840-1926) | ラ・ロジュブロンドの村 | 1889 | キャンバス・油彩 |
| オディロン・ルドン | (1840-1916) | アレゴリー | 1905 | キャンバス・油彩 |
| マルク・シャガール | (1887-1985) | 枝 | 1956-62 | キャンバス・油彩 |
| ジュアン・ミロ | (1893-1983) | 女と鳥 | 1968 | キャンバス・油彩 |
| フランシスコ・デ・ゴヤ | (1746-1828) | 戦争の惨禍 | 1863 | エッチング・紙 |
| ウィリアム・ブレイク | (1757-1827) | ヨブ記 | 1825 | エッチング・紙 |
| オディロン・ルドン | (1840-1916) | ヨハネ黙示録 | 1899 | リトグラフ・紙 |
| アレクサンドル・スタンラン | (1859-1923) | ジル・ブラス紙挿絵 | 1891-94 | 写真凸版・紙 |
| マルク・シャガール | (1887-1985) | サーカス全38点より | 1967 | リトグラフ・紙 |
| M.C.エッシャー | (1898-1972) | メタモルフォーシスⅡ | 1939-40 | 木版・紙 |
| M.C.エッシャー | (1898-1972) | 秩序とカオス | 1950 | リトグラフ・紙 |
| M.C.エッシャー | (1898-1972) | 物見の塔 | 1958 | リトグラフ・紙 |
| ジョアン・ミロ | (1893-1983) | アルバム13 | 1948 | リトグラフ・紙 |
| ジャコモ・マンズー | (1908- ) | ジャコモ・マンズー版画集 | 1970 | エッチング・紙 |
| ジョルジュ・ルオー | (1871-1958) | 受難(パッション) | 1939 | 木版画他・紙 |
| オーギュスト・ロダン | (1840-1917) | 化粧する女 | ブロンズ ※ | |
| アリスティー・マイヨール | (1861-1944) | 歩むマリー | ブロンズ ※ | |
| アントワーヌ・ブールデル | (1861-1929) | ベートーベン | ブロンズ ※ | |
| エミリオ・グレコ | (1913- ) | アルツーサ | ブロンズ ※ |
第3室 横山大観と近代の日本画
東京美術学校長の職を辞した岡倉天心によって明治31年に創設された日本美術院には、横山大観、下村観山、菱田春草らが集って革新的な日本画を追求していた。大正3年以降の再興院展には、大観の他、小林古径、前田青邨、安田靫彦、速水御舟らが参画し、古典研究に基礎を置く浪漫主義的な優れた作品を次々に発表して、近代日本画史に一時期を画した。第3室には、大観ら再興院展日本画部の画家達による作品を中心に展示した。
| 作家名 | 生没年 | 作品名 | 制作年 | 材質 |
|---|---|---|---|---|
| 横山 大観 | (1868-1958) | 満ちくる朝潮 | 1952 | 紙本着色 |
| 小川 芋銭 | (1868-1938) | 水郷十二橋 | 1933 | 紙本墨画淡彩 |
| 平福 百穂 | (1877-1933) | 太公望図 | 1927 | 紙本墨画淡彩 |
| 小林 古径 | (1883-1957) | 麦秋 | 1915頃 | 絹本着色 |
| 小林 古径 | (1883-1957) | 旅路 | 1915頃 | 絹本着色 |
| 安田 靫彦 | (1884-1978) | 小倉の山 | 1930頃 | 絹本着色 |
| 安田 靫彦 | (1884-1978) | 天孫降臨画稿 | 紙本墨画 | |
| 安田 靫彦 | (1884-1978) | 紅梅 | 紙本着色 ※ | |
| 前田 青邨 | (1885-1977) | 西遊記下絵 | 1927頃 | 紙本墨画 |
| 速水 御舟 | (1894-1935) | 花の傍下絵 | 1932 | 紙本着色 |
| 速水 御舟 | (1894-1935) | 鳥 | 紙本着色 | |
| 中村 岳陵 | (1890-1969) | 都会女性職譜 | 1933 | 紙本着色 |
| 川合 玉堂 | (1873-1957) | 秋景 | 絹本着色 | |
| 川合 玉堂 | (1873-1957) | 溪村秋霽図 | 紙本墨画 | |
| 荒井 寛方 | (1878-1945) | 美人 | 絹本着色 | |
| 川端 玉章 | (1842-1913) | 富士山図 | 絹本着色 |
ギャラリー・ロビー
| 作家名 | 生没年 | 作品名 | 制作年 | 材質 |
|---|---|---|---|---|
| 木内 克 | (1892-1977) | 見つけたポーズ | 1954 | ブロンズ |
| 佐藤 忠良 | (1912- ) | 円い椅子 | 1973 | ブロンズ |
| 柳原 義達 | (1910- ) | 黒人の女 | 1956 | ブロンズ |
| 柳原 義達 | (1910- ) | 赤毛の女 | 1956 | ブロンズ |
| 柳原 義達 | (1910- ) | バルザックのモデルたりし男 | 1957 | ブロンズ |
| 片山 義郎 | (1908- ) | 首(T子の顔) | 1976 | ブロンズ |
| 湯原 和夫 | (1930- ) | 無題 | 1971 | 鉄・ステンレス |
| 神戸 武志 | (1932- ) | 不連続と連続(街角にて) | 1983 | 木 |
| 江口 週 | (1932- ) | 漂流と原形 | 1981 | 木 |
| 浅野 弥衛 | (1914- ) | 作品 | 1981 | 紙・鉛筆 |
| 加納 光於 | (1933- ) | 稲妻捕り | 1977 | リトグラフ・紙 |
| 高松 次郎 | (1936- ) | 国生み | 1984 | シルクスクリーン・紙 |
| 元永 定正 | (1922- ) | リトグラフ集(ほへと) | 1986 | リトグラフ・紙 |
| オシップ・ザッキン | (1890-1967) | ヴィーナスの誕生 | 1930 | ブロンズ |
屋外彫刻
| 作家名 | 生没年 | 作品名 | 制作年 | 材質 |
|---|---|---|---|---|
| ジャコモ・マンズー | (1908- ) | ジュリアとミレトの乗った大きな一輪車 | 1973 | ブロンズ |
| 井上 武吉 | (1930- ) | my sky hole 82 | 1982 | 鉄・ステンレス |
| 井上 武吉 | (1930- ) | my sky hole 85-6 | 1985 | 鉄 |
| 湯原 和夫 | (1930- ) | 無題 | 1982 | 鉄・ステンレス |
| 田畑 進 | (1944- ) | NOKOSARETA―KATACHI | 1982 | ステンレス・黒御影石 |
| 梶 滋 | (1951- ) | 円柱とその周辺 | 1986 | アルミニウム |
※印 寄託作品
