常設展示1985年度【第4期展示】 1985年12月24日(火)~3月30日(日)
第1室 ヨーロッパ近世・近代版画の流れ
イタリア・ルネサンスの波紋がひろがる16世紀のドイツ・フランドル地方には2人の大画家A.デューラーとP.ブリューゲルを輩出した。この二人はまた版画家としても著名で、彼らのもつ中世的な感覚は絵画よりも版画に色濃くあらわれている。そしてヨーロッパ近世の版画はこのあたりからはっきりとした歩みをみせはじめる。J.カロの「戦争の惨禍」はゴヤも同題の作品に影響をあたえているし、18世紀イギリスのホガースの社会諷刺はやはりゴヤに継承された。
イギリス有数の詩人でもあるW.ブレイクはまた幻想的なイメージにみちた版画家でもあった。この後19世紀版画はフランスを中心に銅版と石版の技術が発達し、メリヨン、ブレスダン、ルドン、T=ロートレックらがすぐれた作品をのこしている。
| 作家名 | 生没年 | 作品名 | 制作年 | 材質 |
|---|---|---|---|---|
| A.デューラー | (1471-1528) | この人を見よ | 1496~1511 | 木版 ※ |
| A.デューラー | (1471-1528) | “ヨハネ黙示録”のうち | 1498 | 木版 ※ |
| P.ブリューゲル | (1520/30-1569) | “大風景シリーズ”のうち | c.1555 | エッチング エングレーヴィング ※ |
| P.ブリューゲル | (1520/30-1569) | “七つの大罪”のうち | 1558 | エッチング エングレーヴィング ※ |
| J.カロ | (1594-1635) | 戦争の惨禍 | 1633 | エッチング ※ |
| W.ホガース | (1697-1764) | 遊女一代 | c.1800 | エッチング エングレーヴィング ※ |
| W.ブレイク | (1757-1827) | ヨブ記 | 1825 | 銅版 |
| H.ドーミエ | (1808-1879) | ローベル・マケール家の人々 | リトグラフ ※ | |
| C.メリヨン | (1821-1868) | プチ・ポン | 1850 | 銅版 |
| C.メリヨン | (1821-1868) | 塔・医学校通り | 1861 | 銅版 |
| C.メリヨン | (1821-1868) | ノートルダムの給水塔 | 1852 | 銅版 |
| R.ブレスダン | (1822-1885) | 鹿のいる聖母子 | 1871~8 | リトグラフ |
| R.ブレスダン | (1822-1885) | 善きサマリア人 | 1861 | リトグラフ |
| O.ルドン | (1840-1916) | ヨハネ黙示録 | 1899 | リトグラフ |
| O.ルドン | (1840-1916) | ベアトリーチェ | 1897 | リトグラフ |
| O.ルドン | (1840-1916) | ゴヤ頌 | 1885 | リトグラフ ※ |
| T=ロートレック | (1864-1901) | ムーラン・ルージュのイギリス人 | 1892 | リトグラフ |
第2室 横山大観と近代の日本画
近代の日本画は洋画と同様に西洋の美術思想のさまざまな影響を受けつつ、伝統を活かしながらも斬新な表現を志向した。東京で画日本美術院の横山大観、あるいは小林古径、安田靫彦らが華々しい活動を繰り広げたが、京都では、円山・四条派の流れをくむ竹内栖鳳が精緻で水際立った写実的表現を追及していた。また栖鳳と並び称せられる菊池芳文・契月の門下からでて三重県松阪出身の宇田荻邨が活躍した。
| 作家名 | 生没年 | 作品名 | 制作年 | 材質 |
|---|---|---|---|---|
| 竹内 栖鳳 | (1864-1942) | 虎・獅子図 | c.1901 | 紙本墨画淡彩 |
| 横山 大観 | (1868-1953) | 満ちくる朝潮 | 1952 | 紙本着色 |
| 小林 古径 | (1883-1957) | 麦秋 | c.1915 | 絹本着色 |
| 小林 古径 | (1883-1957) | 旅路 | c.1915 | 絹本着色 |
| 安田 靫彦 | (1884-1978) | 小倉の山 | c.1930 | 絹本着色 |
| 宇田 荻邨 | (1896-1980) | 春の池 | 絹本着色 ● | |
| 宇田 荻邨 | (1896-1980) | 雪の嵐山 | 1961 | 紙本着色 |
| 平福 百穂 | (1877-1933) | 太公望 | 1927 | 紙本墨画淡彩 |
| 鏑木 清方 | (1878-1972) | 春の光 | 1917 | 絹本着色 ● |
| 鈴木 三朝 | (1899- ) | 晩春の法起寺 | 1981 | 紙本着色 |
| 嶋谷 自然 | (1912- ) | 島嶼 | 1970 | 紙本着色 |
第3室 藤島武二と明治大正の洋画
1893年(明治26)フランスから帰国した黒田清輝と久米桂一郎によって日本の洋画は新展開をみせるが、この白馬会系のアカデミズムからでて、模倣をこえた独自の手法の模索をはじめたのが藤島武二である。藤島と青木繁を頂点とする明治期末の浪漫的傾向はやがて写実への志向に席をゆずり、岸田劉生、万鉄五郎、中村彝、安井曽太郎らが活動をはじめる。また大正期では前田寛治が佐伯祐三らと結成した1930年協会の活動もみのがすことができない。
| 作家名 | 生没年 | 作品名 | 制作年 | 材質 |
|---|---|---|---|---|
| 川村 清雄 | (1852-1934) | ヴェネチア風景 | c.1880 | 紙・油彩 |
| 中村 不折 | (1866-1943) | 裸婦立像 | c.1903 | キャンバス・油彩 |
| 黒田 清輝 | (1866-1924) | 雪景 | 1919 | キャンバス・油彩 |
| 藤島 武二 | (1867-1943) | 裸婦 | 1906 | キャンバス・油彩 |
| 藤島 武二 | (1867-1943) | ローマ風景 | c.1908 | 板・油彩 |
| 藤島 武二 | (1867-1943) | 朝鮮風景 | c.1913 | キャンバス・油彩 |
| 藤島 武二 | (1867-1943) | 裸婦 | c.1917 | キャンバス・油彩 |
| 藤島 武二 | (1867-1943) | 日の出 | 1930 | キャンバス・油彩 |
| 藤島 武二 | (1867-1943) | 海 | c.1931 | キャンバス・油彩 |
| 長原孝太郎 | (1864-1930) | 自画像 | 1900 | キャンバス・油彩 |
| 長原孝太郎 | (1864-1930) | 裸婦 | キャンバス・油彩 | |
| 久米桂一郎 | (1866-1934) | 秋景下図 | 1895 | キャンバス・油彩 |
| 青木 繁 | (1882-1911) | 自画像 | 1905 | 紙・油彩 |
| 青木 繁 | (1882-1911) | 海 | 1904 | キャンバス・油彩 ● |
| 萬 鉄五郎 | (1885-1927) | 木の間よりの風景 | 1918 | キャンバス・油彩 |
| 萬 鉄五郎 | (1885-1927) | 枯れ木の風景 | 1924 | キャンバス・油彩 |
| 村山 槐多 | (1896-1919) | 信州風景 | c.1917 | 紙・木炭 |
| 岸田 劉生 | (1891-1926) | 麦二三寸 | 1920 | キャンバス・油彩 |
| 岸田 劉生 | (1891-1926) | 自画像 | 1917 | 紙・コンテ・クレヨン |
| 前田 寛治 | (1896-1930) | 裸婦 | 1928 | キャンバス・油彩 |
| 関根 正二 | (1899-1919) | 群像 | 1916 | 紙・木炭 |
| 中村 彝 | (1887-1924) | 婦人像 | 1922 | キャンバス・油彩 |
| 安井曽太郎 | (1888-1955) | 女立像 | 1924 | キャンバス・油彩 |
| 中谷 泰 | (1909- ) | 陶土 | 1958 | キャンバス・油彩 |
| 林 義明 | (1890-1973) | 連峰 | 1970 | キャンバス・油彩 |
| 木下 富雄 | (1923- ) | 空(習作) | 1976 | 木版 |
ギャラリー・ロビー(彫刻・現代の版画など)
| 作家名 | 生没年 | 作品名 | 制作年 | 材質 |
|---|---|---|---|---|
| 元永 定正 | (1922- ) | 赤と黄色と | 1966 | キャンバス・アクリル |
| 西脇順三郎 | (1894-1982) | クロマトポイエマ | 1927 | 紙・シルクスクリーン |
| 飯田 善国 | (1923- ) | |||
| 木内 克 | (1892-1977) | みつけたポーズ | 1954 | ブロンズ |
| 佐藤 忠良 | (1912- ) | 賢島の娘 | 1973 | ブロンズ |
| 片山 義郎 | (1908- ) | 首(T子の顔) | 1976 | ブロンズ |
| 中村 晋也 | (1926- ) | 首 | 1980 | ブロンズ |
| 戸張 孤雁 | (1882-1927) | トルソ | 1914 | ブロンズ |
| オーギュスト・ロダン | (1840-1917) | 化粧する女 | ブロンズ ● | |
| アリスティード・マイヨール | (1861-1944) | 歩むマリー | ブロンズ ● | |
| オシップ・ザッキン | (1890-1967) | ヴィーナスの誕生 | 1930 | ブロンズ |
屋外彫刻
| 作家名 | 生没年 | 作品名 | 制作年 | 材質 |
|---|---|---|---|---|
| 井上 武吉 | (1930- ) | My Sky Hole | 1982 | 鉄・ステンレス |
| 湯原 和夫 | (1930- ) | (無題) | 1982 | 鉄・ステンレス |
| 田畑 進 | (1944- ) | NOKOSARETA-KATACHI | 1982 | ステンレス |
| ジャコモ・マンズー | (1908- ) | ジュリアとミレトの乗った大きな一輪車 | 1973 | ブロンズ |
※印 神奈川県立近代美術館収蔵品
●印 寄託品
