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美術館 > 刊行物 > HILL WIND > Hill Wind (vol.11~24) > 生誕130年 菊地契月展 美術館ニュース Hill Wind 22(2009年7月)

生誕130年 菊地契月展

2009年9月5日(土)~10月12日(月)

 

 高雅で理知的な雰囲気をたたえた人物描写で高い評価を得ている日本画家・菊池契月(1878-1955)。三重県立美術館では、9月5日から10月12日の間、菊池契月の生誕130年を記念した大規模な展覧会を開催します。

 

 契月は、早い時期から文展などで入賞を重ね、京都画壇の有力作家として注目を集めました。竹内栖鳳などと並んで、京都画壇を率いた師・菊池芳文に画才を認められ、その後継者となった契月の画業は、順風満帆そのものにうつります。けれども、常に至高の画境を目指し続けた契月の画業は、華々しさとは裏腹に、厳しさに満ちたものだったのではないでしょうか。

 

 今回の[生誕130年記念 菊池契月展]では、その契月の画業を、郷里・長野県中野市(旧下高井郡中野町)から京都へ出て菊池芳文のもとで四条派を学んだ明治の習学期、新たな画風を求めて研究にはげんだ大正の模索期、欧州視察の成果をもとに独自の画風を確立していく完成期、至高の画境に到達した円熟期と四つの時期にわけてご紹介したいと考えています。

 

 歴史の逸話をドラマチックに描き出した習学期の《寂光院》《近藤重蔵》《悪者の童》。師・芳文の画風をよく学んだ抑揚のある描線から、鉄線描といわれる細い描線に転じた《供燈》、装飾的な表現に挑んだ《鉄漿蜻蛉》、同時代をテーマに求めた《ゆふべ》《少女》など、苦心のあとがうかがえる模索期の作品。そして、西欧視察の成果ともいえる《立女》《南波照間》から、気品溢れる流麗な描線で、像主の内面まで捉えきった《少女》《交歓》《光明皇后》など、契月の代表作の数々をご紹介します。

 

 ぜひこの機会に、典雅な中にも厳しさをたたえた菊池契月の画境に触れていただければと思います。(Mm)


   

※この記事は2009年7月30日発行「Hill Wind 22」に掲載されたものです。

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