このページではjavascriptを使用しています。JavaScriptが無効なため一部の機能が動作しません。
動作させるためにはJavaScriptを有効にしてください。またはブラウザの機能をご利用ください。

サイト内検索

美術館 > 刊行物 > HILL WIND > Hill Wind (vol.11~24) > 大橋歩展に向けて 美術館ニュース Hill Wind 21(2009年3月)

大橋歩展に向けて

2009年10月24日[土]-12月6日[日]

 

2009年度、三重県立美術館の企画展では三重県ゆかりの作家を特集します。春の「元永定正展」、秋の「生誕130年 菊池契月展」、そして晩秋からの「大橋歩展」がその柱となります。

 

イラストレータ、デザイナー、エッセイストと多彩な顔を持ち、それぞれに独自の感性が光る作家、大橋歩さん。1940年三重県に生まれ、多摩美術大学を卒業後、「Weekly平凡パンチ」の表紙を創刊号から7年間描いて、当時の若者の風俗を洒脱に切り取った作風は多くの支持を得ました。その後、幾多の広告媒体や挿絵を手がけられますが、それらを包み込む鋭さと暖かみの共存する世界観は、時代ごとに新たな支持者を獲得し続けてきました。

 

今回三重で行う展覧会は、学生時代のスケッチから本展のための新作にいたるまで、大橋さんのこれまでの活動をあますところなくご紹介するものです。それゆえ、なによりもまず大橋さんの膨大な作品群の全体像を把握することが優先事項となります。展覧会に先立ち、大橋さんの事務所やアトリエから多くの作品やファイル、資料などを美術館にお預かりし、調査に備えてきました。ぎっしりと詰まった段ボールの山々に眠るのは、まさに大橋歩という小宇宙といってよいでしょう。1点1点丁寧に梱包を解き、隅々まで状態を確認した後は、デジタルカメラで撮影を行っていきます。三脚を構え、照明や角度を調節し、シャッターを押す瞬間は、まるで目の前の作品と会話をしているような気さえして、時間がたつのも忘れるほどです。修正液の跡もまだ白い原稿には試行錯誤の生々しい息づかいが、印刷に際しての細やかな指示書きにはものを作ることに対する厳しさを垣間見る思いです。

 

たくさんのファンに愛される大橋歩さん。10月24日(土)から始まる展覧会では、一人でも多くの方に楽しんで頂くことを目指して準備を進めています。誰もが知っている、そして誰もまだ見たことのない大橋歩ワールドにご期待下さい。(Iy)

※この記事は2009年3月24日発行「Hill Wind 21」に掲載されたものです。
 
ページID:000055813