当館のウェブサイトは1998年12月に開設されました。それ以来催物情報や美術館案内、館蔵名品選だけでなく、文字のみではあれ全所蔵品の目録、過去の展覧会一覧とそれに伴う図録の書誌情報、また後者中の館員による主な原稿、研究論集や美術館ニュースのバックナンバーなどを掲載してきました。原稿の中身はどうよとか校正が不充分だとか各頁のデザインはいかがなものかとか、いろいろ問題はあろうにせよ、少なくとも情報量という面では、地方の一機関のサイトとしてはそこそこのものだったといっても許されるのではないでしょうか。基盤ができたのであれば後はその時々の情報を更新し、欠けていた部分を補っていけばいいことになります。著作権保護期間の終了した館蔵品の画像、年報などを追加しているところです。 ところでサイトというものは、素人目で見たかぎりでしかありませんが、孤立した個々のファイルをリンク機能によってつなぐことでできているようなのです。リンクとは、あるファイルに、つなごうとする先のファイルのアドレスを書きこむことで成りたちます。リンク先のファイル自体は手つかず、すなわち一方通行です。利用者から見ると、表紙頁(もともとの意味でのホームページ)なりフレームから、枝分かれしていく形でツリー状にファイルをリンクしていったものがひとかたまりのサイトをなしているわけです。 さて情報が貯まってくれば、枝分かれしていった先のファイル同士をリンクしたくもなろうというものでしょう。展覧会図録と年報での報告をつなごう、曾我蕭白など館蔵品にも展覧会にも関わる作家についての記事を一覧したいというところから始まって、いわば縦糸をなすツリーにどんどん横糸を渡していったのです。、「美術館教育関係記事一覧」など、フレームや表紙頁には出てこない中継点も生まれました(「サイトマップ」には載せてあります)。ドゥルーズとガタリ風にツリーからリゾームへといっては大げさでしょうし、まだまだ中途です。 これらは後から追加していったこともあって、ファイル同士の位置関係はきれいとはいえない部分もあります。それを整理しようとするとしかし、あるファイルに他のどこからリンクが張られているかはそれだけではわからないので、結局すべての頁をつなぎ直さなければならないことになりかねません。次々に建て増していった屋敷や学校、病院や旅館のようなものです。廊下なりリンクをたどってもなかなか終点にいたらず、あるいはいきなり袋小路にぶつかったり、横道にそれたり堂々巡りしたり外に出てしまったり……そして建て増しを重ねた建物に何かが宿るのと同じように、迷宮化しようとするサイトにも何ものかが潜むことになるのでしょう。(Ik) |
![]() 著作権切れ版画集・画帖等一覧より 歌川広重《丸清版・隷書東海道五十三次》より
![]() English頁 Past exhibition頁より 『近年の新収蔵作品から』(2006年1月)会場写真より
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