2007年9月26日(水)~11月4日(日) 彫刻は、古今東西を問わず絵画とならぶ造形芸術の重要な分野です。日本には、古代以来、仏像、神像、人形、置物、建築装飾など豊かな彫刻表現がありました。そうした背景の中で、明治時代に西洋の美術思想が輸入されると、「(西洋的な意味の)彫刻とは何か」という基本問題が十分解決されないままに彫刻の近代が始まりました。 日本近代における彫刻概念の在り方、あるいは明治期以降の彫刻の「近代性」についての検証は、今も大きな課題です。日本の近代彫刻については、1960年代から80年代にかけて、故中村傳三郎氏、故本間正義氏、三木多聞氏らが中心となって研究が進められました。近年は、特に明治初期の彫刻と工芸との関係、あるいは大正末から昭和前期の彫刻界について新しい観点から研究が行われ、新資料が紹介されています。 しかし、現在でも、日本近代彫刻史研究は絵画史研究と比較すると十分ではありません。また、作品移動の難しさや展示空間の制約などから、日本の近代彫刻を総括的に紹介する本格的な展覧会もほとんど開催されていません。 宮城県美術館、東京国立近代美術館と協力して準備を進めているこの展覧会は、明治初期から1960年代頃までの日本彫刻の展開を八章に分けて、選りすぐりの作品約80点を展示します。日本近代の彫刻展としては、空前絶後の内容と規模になります。是非ご期待ください。(毛利伊知郎)
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