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美術館 > 刊行物 > HILL WIND > ひる・うぃんど(vol.21-30) > ひる・ういんど 第24号 落ち葉のころ

ひる・とおく

落ち葉のころ

 こんもりと丘のように植えられた平戸ツツジの中に、クスノキ、ケヤキ、トウカエデにヤマモミジ等々、計算された植樹であろうがそれがいかにも自然のようで美しい。ツツジの葉っぱを指でつまみながら少し黒ずんだ石畳をゆっくり一歩二歩と登るともうそこは別世界「美の殿堂」である。早いもので、こちらに赴任し8ヶ月、今は落葉がやけに気になる。県立美術館の「総務課」、いったいどんな仕事をするのだろう。諸先輩に教えられ模索のうちに予算のシーズンを迎えた。そして、行政との間にいろいろなギャップがあることに気づいた。観客数は減少傾向にある、限られた予算内で行えということである。公立美術館の宿命であろうが‥‥。

 

 戦後40年余りの著しい経済の繁栄の下で「物の豊かさ」は十分享受しているはずである。科学技術の発展や物質文明の向上に伴う高齢化社会の到来、余暇時間の増大の中で人々は「心の豊かさ」を求めて久しい。

 

 一方、21世紀は国際化、情報化時代とも言われている。数々のすばらしい展覧会を企画しながらも、情報提供が脆弱のため多くの人々の日に触れることなく終ってしまうことは誠に残念なことである。あらゆる角度からきめ細かく親切に情報を提供したいのであるがそこに限界がある。

 おりしも、7月9日三重県が伊勢志摩、東紀州地域を対象に進めている「三重サンベルトゾーン」構想が全国に先がけ第1号として総合保養地整備法の承認を受けたところである。県立美術館の位置する津市は、構想エリアからはずされているとは言え、「心の豊かさ」を求め又、「生涯教育」の場として誰しも三重県立美術館を忘れてはいないだろう。

 

 外は今日も自然に逆らうことなく紅葉したモミジやケヤキの枯葉が静かに音も立てずに舞い落ちている。   

 

(東谷卓生・総務課長)

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