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美術館 > 刊行物 > HILL WIND > ひる・うぃんど(vol.11-20) > ひる・ういんど 第12号 横山操《瀟湘八景 洞庭秋月》 牧野研一郎

横山操 《瀟湘八景 洞庭秋月》

1963年

 

 瀟湘とは中国江南の名勝地洞庭湖に注ぐ二川、瀟水と湘江との合流地域をさす呼称とされるが、洞庭湖中の瀟湘の浦付近の呼称ともされ明確ではない。画題としての瀟湘八景は特定の地をさすものではなく、湿潤で風光明眉な江南の景観をかりに八カ所に定めて描いたもので、北宋の文人画家宋迪がはじめて描いたと伝えられる。日本には室町期に伝牧谿筆のそれや、夏珪、玉潤らの作品が舶載され日本の水墨画に大きな影響を与えた。四季おりおりの自然と、山海にわたる様々な人間の営みとが渾然融合するこの画題は、水墨画にとって恰好の画題として狩野元信・山楽ら多くの画家にとりあげられ、近代に至っても橋本雅邦や横山大観らがこの画題に挑んでいる。

 

 横山操はシベリア抑留後、青竜社に出品、師の川端龍子ゆずりの大画面に凄まじいエネルギーを噴出して近代都市空間を、アクション・ペインティングと通じる表現で描き注目されたが、転じて水墨にその表現を眼り、エネルギーを凝縮して唐末五代の逸品画風を現代に蘇生させている。

 

(牧野研一郎 学芸員)

 

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横山操

「瀟湘八景・洞庭秋月」

 

1963年

 

 
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