嘉永5年東京に生まれ、幼少期から日本画を学び、16歳頃から3年間以上冬崖について西洋画法を学んだ川村清雄は、明治3年徳川宗家の給費学生として政治法律研究のため渡米するが、まもなく本格的な絵画研究に専念、翌々年パリへ、次いでイタリアに赴き、ヴェネチアの美術学校に入る。
この《ヴェネチア風景》は、明治14年に帰国するまでの約8年間にわたるヴェネチア滞在中に、近郊の農家の庭先を明快な色調とすばやい筆致で描写した川村清雄の数少ない滞欧作品のひとつ。
川村清雄は帰国後私塾を開き、明治22年明治美術会の結成に参加、同会解散後は巴会を主宰。後半期は日本画的、趣味的作風をみせ、天理市にて没。
(森本孝・学芸員)
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1880年ごろ|油彩・紙|33.5×100.0cm
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