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美術館 > 刊行物 > 年報 > 2008年度版 > 年報2008 移動美術館 菰野町図書館 (2008.4)

移動美術館 菰野町図書館

2008年4月11日(金)~27日(日)

菰野町図書館 2階催事室
〒510-1253 三重郡菰野町大字潤田1250
電話059-391-1400  fax059-394-4433

開館時間:午前9時30分~午後6時

休館日:4/14(月)、4/21(月)、4/22(火)

入場無料

主催:菰野町教育委員会
協賛:三重県立美術館
協力:三重県立美術館友の会・菰野町芸術文化協会

 

◎入場者数 2518名

 

主な新聞記事等

伊勢新聞
4月15日…「県立美術館が菰野町に来た 黒田清輝など移動美術展」

移動美術館 菰野町図書館 会場風景1

移動美術館 菰野町図書館 会場風景2

移動美術館 菰野町図書館 会場風景3

 

出品目録+ガイド

no. 作者名 生没年 作品名 制作年 材料 寸法(cm)
1 黒田清輝 1866-1924 夏の海 制作年不詳 油彩・板 26.2×34.6
黒田は、明治の洋画に戸外の光の表現をもたらした画家の一人です。この作品では細々とした細部は描かれていませんが、明るめにキーを合わせた色彩や筆の動きを感じさせる素早い筆致ゆえ、夏の日差しや海辺の空気の動きなどが率直にとらえられています。
2 小出楢重 1887-1931 六月の風景 1929(昭和4)年 油彩・キャンバス 53.0×65.1
大阪生まれの小出は、大正から昭和初頭にかけての阪神間のモダンな文化を体現した画家です。この作品では、木々が画面を隙間なく埋め尽くさんばかりでありながら、決して息苦しくはなく、斜めに走ろうとする構図と薄塗りの色彩の配分によって爽快な躍動感が生まれています。
3 藤島武二 1867-1943 海(日の出) 1931(昭和6)年 油彩・キャンバス 33.4×45.8
津で学校の先生をしていたこともある藤島は、色のひろがりを装飾的にまとめるという作風を確立した画家です。この作品では、海と空、浜辺の岩に打ち寄せる波などを生き生きと動く筆致が描き分け、のびのびとしたひろがりをもたらしています。
4 安井曾太郎 1888-1955 静物 1950(昭和25)年 油彩・キャンバス 72.7×60.6
安井は梅原龍三郎とともに大正から昭和にかけて日本的洋画を代表する画家として活動しました。晩年に近い本作品では、線や彩色が、スピーディーであると同時に微妙な変化をつけられ、その相互干渉が絵を見る醍醐味を味わわせてくれます。色を塗った上から加えられた黒の線が引きしめ役をつとめています。
5 小磯良平 1903-1988 四つの西洋人形 1975(昭和50)年 油彩・キャンバス 100×100
神戸に生まれ東京美術学校で藤島武二に師事した小磯は、写実を基本にしながらもそこにモダンな香りを吹きこんだ画家です。本作品でも、一見緻密に描きこまれたと見える画面は、しかし近づけば下部の処理をはじめとして随所で省略を施されており、そのため洒脱な雰囲気が感じられます。
6 小林研三 1924-2001 春の丘 1975(昭和50)年 油彩・キャンバス 80.5×100
四日市生まれの小林は、鳥や動物、田園を幻想的に描き続けた画家です。この作品でも、春の霞を連想させるにじみの効いた塗りと、家や木、動物の単純化された描き方が、画面を穏やかな理想郷として表しています。
7 吉本作次 1959- 天使の独酌(原罪後) 2004(平成16)年 油彩・キャンバス 162×130.3
桑名といなべを拠点とする吉本は、絵の中を経巡ることの醍醐味を味わわせようとする画家です。アダムとエヴァが追放された後のエデンの園で天使が一人盃を傾けるという設定と、天使の漫画風の描き方、日本の伝統的な絵を思わせる雲や木、上から見下ろした視角、雲や中央と木々との密度の落差など幾重もの仕掛けが、ふくらみと奥行きを兼ねた空間へと見る者を誘ってやみません。
8 浅野弥衛 1914-1996 作品 1982(昭和57)年 鉛筆・紙 112×79.0
鈴鹿に生まれ生涯を鈴鹿で暮らした浅野は、白ないし黒の地をとがったもので引っかいた線が、時に自在に、時に規則的に走る作風で知られています。この作品でも、線が何種類かの記号のような軌跡を描きつつ画面を埋めつくして、いかにもがやがやとにぎやかです。また本作品は、白い紙をとがったもので引っかいてから、鉛筆で黒く塗るという手順で制作されたということです。
9a-c ミロ、ジョアン 1893-1983 《アルバム13》より3点 1948年 リトグラフ・紙 56.0×45.0
スペインのバルセロナに生まれたミロは、シュルレアリスムの運動に参加しつつ、記号化されたイメージがユーモアをたたえるという独自の作風を築きました。今回展示される三点でも、人や星、鳥が、また形と影が互いに混じりあい変身しあうかのようです。
10 エッシャー、M.C. 1898-1972 物見の塔 1958年 リトグラフ・紙 46.1×29.5
エッシャーは、現実にはありえないけれど紙の上でだけ実現するイメージを描いたオランダの版画家です。この作品でも、はしごと一階・二階との関係がどうなっているか確かめてみてください。下方で坐っている男が手にしている立体にも同じ関係が反復されています。
11a-c シャガール、マルク 1887-1985 《サーカス》より3点 1967年 リトグラフ・紙 42.0×32.0
シャガールは、思い出や夢の光景を描きつづけたロシア生まれの画家です。今回展示される三点でも、サーカスの雰囲気が写実的ではないがゆえにかえって生き生きと描きだされています。また、ちょうど記憶が全ての細部ではなく特定のイメージを強調するのと同じように、色の組みあわせが夢か思い出のような雰囲気をいっそう強めています。
12 池田満寿夫 1934-1997 青い椅子 1966(昭和41)年 ドライポイント、ルーレット、エングレーヴィング・紙 45.6×40.0
池田は版画だけでなくやきもの、小説、映画などを手がけた多才な作家です。菰野のパラミタミュージアムにも多くの陶彫が収蔵されています。本作品では、椅子、人物、犬がそれぞれの描き方や空間上の位置のちがいによってスピーディーに切り替わるさまに、現代的な空気を感じとることができます。
13a-c 脇田和 1908-2005 《きものII》(全3点) 1983(昭和58)年 リトグラフ・紙 50.0×39.5
脇田は同時代の動向の影響を受けながらも、一貫して叙情性にみちた画風で子供や鳥を描き続けた画家です。本版画集では、暗めの紫を用いながらも、柔らかい筆致がイメージと周囲の空間を溶けあわせています。そのため衣服が独自の個性をもって、ひっそりとささやきかけるように感じられはしないでしょうか。
14a 元永定正 1922- 《ほへと》より〈ぎざぎざのなかはきいろ〉 1986(昭和61)年 リトグラフ・紙 75.0×56.0
14b 元永定正 1922- 《ほへと》より〈ほへと〉 1986(昭和61)年 リトグラフ・紙 56.0×75.0
上野生まれの元永は、具体美術協会に参加して戦後の前衛運動の一翼を担いましたが、つねに独自の作風を見失いませんでした。今回展示される二点でも、棒状のイメージが擬人化されてユーモアをたたえつつ、抽象化された空間に神出鬼没に出現して奇妙な物語を綴るかのようです。
15 堀内正和 1911-2001 水平の円筒 1959(昭和34)年 鉄・御影石 高さ30.0
戦前から制作していた堀内は、戦後になると幾何学的な形態を何らかの規則にしたがって展開するという方法を採用しつつ、そこにある種のユーモアがただようという作風を確立しました。本作品でも、円筒の一部を切り開いて台座につなぎ、また上半と下半をくねっと橋渡しした結果、人の顔というか目もとだか開いた口のように見えます。
16 佐藤忠良 1912- 賢島の娘 1973(昭和48)年 ブロンズ 高さ47.0
宮城県に生まれた佐藤は、モダンな感覚を漂わせた人物表現によって戦後の日本の具象彫刻を代表する作家の一人となりました。本作品でも、堅実な写実によって日本人固有の相貌をとらえつつ、楕円形を基本に整理された形態が洗練されたバランス感覚を漂わせています。
17 柳原義達 1910-2004 道標・鳩(長寿の鳩) 1981(昭和56)年 ブロンズ 高さ35.0
戦後の具象彫刻を代表する作家の一人である柳原の作品は、細々した細部を再現してはいないけれどもそこに生気が宿るという特色をしめしています。人物や鴉とともに柳原はくりかえし鳩をとりあげましたが、本作品でも、荒々しいほどのざっくりした表面と、動きとバランスを兼ね備えた形態が、生き生きとした生命感をとらえています。
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