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三輪勇之助 (みわゆうのすけ/1920-1990)
昆虫採集にいった時
1958年 油彩・キャンバス
四日市市浜町に生まれた三輪勇之助は、二重画像(ダブル・イメージ)の画家として知られている。母校、富田中学(現・四日市高校)の図画教員、黒松秀志の影響で画家を志して上京。1943年、多摩美術大学を卒業している。戦後、人形劇団の舞台美術などを担当しながら画業に専念し、1958年、初めて二紀展に入選した作品が、この《昆虫採集にいったとき》である。東京、多摩川付近の神社の古木と、そこでみかけたカミキリ虫がモティーフ。画家の目が捕まえた現実を、鋭い感性で二重に表現する技法は、戦後美術のなかで異彩を放っている。その後、三輪はたびたび安井賞候補にもなっており、二紀会を代表する画家のひとりであった。
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