3月3日(土)~4月8日(日)
奇しくも3月3日に始まる3づくしの『三重の三人』展。3人の作品はすでによくご存じのことでしょう。当館には浅野弥衛の作品が油彩26点、素描17点、彫刻2点の計45点(および今回は展示されない版画集)、小林研三の作品が20点、伊藤利彦の作品が12点収蔵されています。3づくしに加え、ちょうど5年ずつの間を置いて亡くなられた3人の作品計77点とは、何やら暗合を読みとりたくなるところでしょうか(もっとも展示の都合で少し減る可能性もなくはないのですが)。 線がさまざまな姿に変幻する浅野の作品では、その自在さを受けいれる白や黒の地の厚みや柔軟さ、密度や温度をこそ、最終的には印象づけずにいません。小林の画面において鳥をはじめとする動物や田園は、見る者に親しみを感じさせつつ、イメージを描き、とりまく色彩と一体化することで、この世からほんの少し離れた宇宙をかいま見せてくれます。時代の問いかけに対応した末に伊藤が辿りついた白いレリ-フでは、圧縮された模型のようなさまが、見る者の大小・遠近の感覚を揺らがせることでしょう。 ちなみに3月3日はいわずと知れた雛祭り。そういえば3人の男性作家の作品は、作風の開きにもかかわらず、いずれもマッチョさを感じさせないという点で通じるところがあるといえるかもしれません。 石崎勝基(三重県立美術館学芸員) 友の会だより74 2007.3.21 |