梅原龍三郎《山荘夏日》

1933(昭和8)年/油彩・キャンバス/62.6×77.8cm
鮮やかな朱色の家屋と青々と生い茂った木々が、のびのびとした筆遣いで描かれています。庭に大きな竹が右下から斜め上に伸び、太陽の強い光を受けて地面には青い影が落ちています。縁側には浴衣姿で椅子に座る作者の長女が描かれ、穏やかな夏の情景が広がります。
作者の梅原龍三郎は、京都の絹問屋に生まれ、幼い頃より日本の伝統的な文化が常に身近にある環境で育ちました。15歳で画家を志した梅原は、浅井忠の画塾で絵画やデッサンを学びます。のちにフランスに留学し、画家ルノワールの教えを受け、優しい光を取り入れた色彩表現を身につけました。この作品は、友人の写真家・野島康三が所有する熱海の別荘を描いた作品。梅原は、毎年夏に家族とともに訪れ、滞在して制作に励みました。南仏の明るい風景を好んだ梅原は、熱海や伊豆にその景色に重ね合わせた作品を多く手掛けました。
習得した西洋の技法に、日本の伝統的な美意識を融合することで、梅原独自の鮮やかな色彩を取入れた画風を確立しました。
