年報2024年度版【『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本】
基本情報
2024年4月27日(土)-6月30日(日)開催日数:57日間(休館日及び内覧会日除く)
来館者数 7,492名(有料4,977名)
【会場】 三重県立美術館 企画展示室1~4室
【主催】 三重県立美術館、中日新聞社
【協力】 京都府京都文化博物館、板橋区立美術館
【助成】 公益財団法人ポーラ美術振興財団、公益財団法人岡田文化財団、公益財団法人三重県立美術館協力会
【図録、印刷物デザイン】加藤賢策(LABORATORIES)
【担当】速水豊、村上敬
展覧会概要
本展は、「シュルレアリスム」を主導したフランスの詩人、アンドレ・ブルトンの『シュルレアリスム宣言』発表から100年となるのを機に、日本におけるシュルレアリスムの受容と展開を振り返る大規模な企画展であり、約90名の作家による絵画、デッサン、写真、資料など約200点を展示した。本展のように、昭和戦前期を中心として日本のシュルレアリスムの動向を網羅的に紹介する展覧会は、1990(平成2)年に名古屋市美術館で開催された「日本のシュールレアリスム1925―1945」展以来、33年ぶりであった。この間、各地の美術館の学芸員や研究者らによって新たな作品、資料の発見がなされてきた。本展では、最新の研究成果を踏まえつつ、東京のみならず、京都、名古屋、九州など地方におけるシュルレアリスム的表現の動向や多様性を紹介した。また、今日あまり名前が知られていないものの、戦前期のシュルレアリスム表現の活況を支えた若い作家らの作品をも展示した。これらは、戦災を逃れて残った貴重な作例であるが、本展によって広く実見される機会を得たことで、今後の再評価が期待される。来場者は、とくに休日は20代から30代の若い方が多かったようである。また、本展では、開催記念連続講座「シュルレアリスムと〈場所〉」と題し、全5回に亘る講演会を開催し、各地の美術館の学芸員による研究成果を発信するとともに、展覧会の普及活動を行った。全5回の講演会は、通常の企画展イベントとしては多く、当初は参加者の分散が懸念されたが、結果として各回多くの方にご参加いただくことができた。図録は、青幻社により一般書籍として刊行された。全出品作品に参考写真を加えた画集であるが、シュルレアリスムに関わる重要事項の詳細な解説、作家の略歴や年表なども収載し、展覧会終了後も当該分野の基本文献として活用されることが期待される。



関連イベント
(1)連続講座(全5回、各回70分)
1.「シュルレアリスムと日本という場所」講師 三重県立美術館館長 速水豊
日時 5月4日(土・祝)午後2時- 71人
2.「京都とシュルレアリスム」
講師 京都文化博物館学芸員 清水智世
日時 5月18日(土)午後2時- 50人
3.「シュルレアリスムと名古屋」
講師 愛知県美術館主任学芸員 副田一穂
日時 6月1日(土)午後2時- 67人
4.「池袋モンパルナスとシュルレアリスム」
講師 板橋区立美術館学芸員 弘中智子
日時 6月15日(土)午後2時- 57人
5.「三重の二人の前衛」
講師 三重県立美術館学芸員 原舞子
日時 6月29日(土)午後2時- 65人
(2)ギャラリートーク(全4回、各回20分)
講師 各回とも三重県立美術館館長 速水豊5月12日(日) 26人
5月26日(日) 23人
6月9日(日) 35人
6月23日(日) 23人
メディア掲載実績
速水豊「〈日本のシュルレアリスム〉への視点―それは再評価されたか?」『アートコレクターズ』No.182、生活の友社、2024年5月25日、39‐41頁。速水豊「福沢一郎《他人の恋》」『中日新聞』2024年4月27日 。
速水豊「三岸好太郎《海と射光》」『中日新聞』2024年5月4日。
速水豊「飯田操朗《婦人の愛》」『中日新聞』2024年5月18日 。
速水豊「靉光《眼のある風景》」『中日新聞』2024年5月25日 。
速水豊「平岡潤《デカルコマニー》」『中日新聞』2024年6月1日。
速水豊「浅原清隆《多感な地上》」『中日新聞』2024年6月15日。
速水豊「北脇昇《周易解理図》」『中日新聞』2024年6月22日 。
速水豊「岡本太郎《憂愁》」『中日新聞』2024年6月29日。
「昭和戦前期における日本の表現を展示 シュルレアリスムと日本 三重県立美術館で開催中」『三重ふるさと新聞』2024年5月9日。
「戦前に開花〈シュルレアリスム〉の世界」『朝日新聞』2024年5月16日。
「シュルレアリスム30年ぶり企画展 日本への影響を紹介」『中日新聞』2024年4月27日。
展覧会評
亀山裕亮「『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本」『芸術批評誌リア』2025年3月31日。