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美術館 > 刊行物 > 友の会だより > 2019 > 表紙の作品解説 古賀春江《鳥籠》 友の会だより120号 2024.3.31

表紙の作品解説 古賀春江《鳥籠》

1929年
石橋財団アーティゾン美術館所蔵
「『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本」展示作品より

速水豊(三重県立美術館館長)

 古賀春江(こが はるえ、1895-1933)は、大正期から昭和初期にかけて、ヨーロッパ絵画の新潮流を貪欲に吸収し、短い生涯のなかで、近代洋画の新たな側面を切り拓いた画家として知られる。
 1929(昭和4)年、古賀は二科展に《鳥籠》や《海》(東京国立近代美術館蔵)を出品、日本における最初のシュルレアリスム絵画の出現として大きな話題となった。特にこの《鳥籠》では、裸婦が鳥籠のなかにいるという、これまで描かれたことのないような奇抜なイメージがあった。画面右の実験室の器具のような形態と、下の水鳥がいる水面の描写も普通ありえない取り合わせである。
 日本の画壇に現れた奇妙で特異な表現。だが、これは始まりに過ぎなかった。古賀の絵やヨーロッパのシュルレアリスム絵画に刺激を受けた多くの若い画家がこの新しい表現を追求し始め、1930年代後半、日本のシュルレアリスム表現は大きな盛り上がりを見せることになる。

※2024年4月27日(土)~6月30日(日)開催の「『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本」展にて展示予定。

(友の会だより120号、2024年3月31日発行)

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