館勝生《gold that has been tasted in the fire》
1998(平成10)年/油彩・キャンバス/194.0×162.0cm
白いキャンバスの上に、さまざまな色の絵具が塗り広げられています。画面右側には青や茶色の透明感のある絵具がたっぷりと広げられ、ところどころ飛び散っています。左側には白い絵具が塊のままへばりつき、固いもので荒々しく掻き取られた後もあります。力強い絵具の線は、画家のすばやく、ダイナミックな体の動きを伝えています。
作者の館勝生は三重県桑名市出身。大阪で活動し、新進作家として高い期待を寄せられましたが、44歳の若さで亡くなりました。
館の絵画には、しばしば虫のような形があるといわれます。本作においても、画面上の青い半円形を体、そこから延びる茶色の線を翅、左側の白い絵具を花びらと見れば、花にとどまって蜜を吸う、羽虫の姿が見いだせるでしょう。館はこのような形について、子供のころ、養蜂業を営む家族と花畑を訪れ、蜂や花を眺めた記憶が、体を動かすうちに表れたのかもしれないと述べています。