多田美波《曙》
1982(昭和57)年/テラコッタ、ステンレススティール/530.0×1800.0cm
美術館のエントランスホール北側の壁面に設置されている《曙》。1982年の開館に先駆けて壁面に作品を展示する構想が練られ、美術館の建築設計と並行して制作されました。この作品は、いまもなお美術館の建築の一部として同じ場所に展示されています。
この作品を手掛けた多田美波は、ステンレスやガラスなどの素材を取り込んだ立体作品の制作をはじめ、建築空間の照明デザイナーとしても独自の作品を数多く生み出しました。
伊賀焼タイルとステンレスという異なる素材を組み合わせた本作は、縦5m、横18mもの壮大なスケールで構成されています。使用されたタイルの模様は、登り窯の中の炎の動きと灰の作用によって形成されました。その独特な風合いをもつ約5千個のタイルと鏡面仕上げのステンレスが作る曲線は、空に伸びていく力と地に根付く力強さを表現しています。