柳原義達《道標・鳩》
1973(昭和48)年/ブロンズ/高さ41.0×幅52.0×奥行27.5cm
豪華な羽をもつ鳩が、後ろを振り向いたところをとらえた彫刻です。脚で地面をしっかりとつかみ、尾羽を空に向けて広げるように立っています。後方の空を見上げるようなポーズで、力強く、凛々しい印象です。
作者は、戦後日本を代表する彫刻家柳原義達。鳩やカラスの美しさに魅せられ、動物園のカラスや飼っていた孔雀鳩をモデルに、たびたび彫刻を制作していました。自然や生命は、川の水のように絶えず動くものと考えていた柳原は、彫刻制作を通して、この生命の美しさを捉えようとしました。
作品を見てみましょう。鳩が首を後ろに向けるのに従い、胸はなだらかに盛り上がり、肩から尾にかけて体はゆるやかにねじれています。鳩が首を動かしたとき、バランスを取ろうとする体のねじれ、重心の移動が捉えられています。
柳原は、常に彫刻のあるべき姿を考え、模索を続けた彫刻家でした。タイトルにつけられた「道標」という言葉には、作品一つ一つが、自分が先に進むべき道しるべとなってほしいという思いが込められています。