ジョアン・ミロ《女と鳥》
1968年/油彩・キャンバス/100.0×65.6cm
記号のような形をした太く黒い線が画面に踊り、その周りには赤や青、黄色などの絵具がぶつけたように付けられています。これは20世紀スペインを代表する画家の一人、ジョアン・ミロの手による作品です。
ミロは19世紀末にバルセロナで生まれ、1920年代にパリでシュルレアリスム運動に参加します。しかし、1930年代にはシュルレアリストたちと距離を取り、帰国。その後は独自の造形表現を追求し、記号的な形や豊かな色彩を用いて幻想的で詩的な世界を描き出しました。
「女」と「鳥」はミロが好んだモチーフです。左下から延びる太く大きい黒い線が「女」で、その周りを舞う曲線が「鳥」でしょうか。安定感のあるどっしりとした線で表された「女」は生命の根源である大地をほのめかします。一方で、「鳥」は軽快な線で表され、大空を舞う鳥の自由な姿を思い起こさせます。
なお、こうした太く黒い線や滴り落ちる絵具には、ミロの持つ日本の書画への意識がうかがえます。ミロは若い頃から日本に対して関心を持ち、1966年に初めて来日しました。